極楽蝶華
2
新聞部、と書かれた腕章を付けた腕で無遠慮にボイスレコーダーを押し付けてくる、コイツ。
そう。コイツ。
『……何。』
「あなたの名前は?!クラスは?!恋人の有無は?!好きなタイプは?!生徒会の方々とはどのようなお付き合いをしてるんですか?!」
わー。ホント何こいつ。
うっっっっぜぇぇぇええ!
『……あんたらかよ。肖像権の侵害してくれちやったの。』
「あの写真の美少年ですよね?!認めて貰えたみたいです!!」
『……お前人の話聞く気ある?』
「とりあえずお名前は?!」
……はい。
はいはいはい。
……殺していい?
『そこを退け。五秒以内に。……蹴り飛ばすぞ?』
睨み付けると一瞬怯んだ。
ついでにそいつの胸を押しやって道を開ける。
俺の後ろでちょっとビビってた葉月先輩の手を握って笑いかける。
『ダーリン、授業始まるから行こー?』
「あ……う、うん……」
なんか周りがうるさくなった。
顔赤くしちゃって……
さては照れるダーリンに惚れたな?
……やらねぇーからな。
『なー、誠達もさっさと行こーぜ?うるせーよ、こいつら。』
「あ、いくいく。」
後ろから四人がダラダラついてくる。
「き、君の名前は?」
未だしつこく聞いてくる馬鹿。
『テメェに名乗る名前なんざねぇーよ。』
ひと睨みしてその場を離れた。
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