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極楽蝶華
行方不明だったネクタイ
 

最後に、ソフトクリームが入ってたワッフルコーンの持ち手に巻いてある紙を握ってスポーン、と外そうとして……


―ビチャッ―

『ぎゃっ!!』


失敗して顔中にかかった。


とりあえず顔に付いた方は後で拭くなりなんなりしよう。


まずはこっち。

コーンの割れ目から溶けかけているクリームが垂れて来たので、斜め上を向いて細い方をくわえてバリバリ食べた。


「……正直に言え。
…… わざとか?」

若干イライラしてるような不動が、指先でテーブルを叩きながら聞いてきた。

『ん?紙外すの失敗したんだよ。』

誰が好き好んでどうやってわざわざ失敗を。
俺の顔についた分摂取できるアイスクリームが減るではないか。




……そして何と無く、俊と奈緒先輩と猛さんも悩み事があるような顔しながらちょっとイライラ ?


あの人達にも悩み事とかあるんだぁー。へー、とか思いながら優しいダーリンに顔を拭いてもらってた。


「悠紀仁君……ネクタイにも飛んじゃってるよ?」


『え??ヤベー。不動悪ぃ。ネクタイ汚しちった。』


「……っ!!……ンなの、どーでもいいから……こっち向くな!!顔拭いてもらえ!!」


失敬な!!

クリームだらけで笑っちゃう、ってか?


「何で不動のネクタイ締めとんの?ゆきやん自分のどーしたん?」

『あー、なんか無くしちゃってさぁー。不動が【俺はこっち使わないからやる】って。んで。

……でもそーいやぁ不動とかってネクタイの色違うよな。なんで?』


「生徒会は黒なんだよ。」

『あーそーいやダーリンもネクタイ黒なんだね。凛々しくて惚れ直しそうだよダーリン(はぁと)

……ってことは不動も生徒会?!何で3階にいんの?!生徒会用のフロアあんじゃん。無駄に広いの。』

あの広さの風呂蹴って来るとは勿体ない!!


「春日君は……遊び人だからね。」

「……別に言わなくていいです。やめてください久遠先輩。」


『えー?なんかあるの?不動。』


顔を覗き込むと、奈緒先輩の方を苦々しげに一瞬見た後渋々話してくれた。

「生徒会フロアだと……気軽に人が呼べないから。」 


『へー。
でも人恋しいとか……なんかキャラに合わなくねぇ?マジで淋しがりなん?』

「……うっせぇ。」


またそっぽを向かれて話を強制終了されてしまった。

「あ、そうだ悠紀仁。これ。」


俊の手の中には深緑に紺色のストライプが入ったネクタイ。


「お前の。落としてったぞ?」


『あー。俊が拾ってくれたんだ。さんきゅ。』

腕を伸ばして取ろうとしたが空振る。

『返せって。』


「結んでやるよ。上向け。」


『……冗談でも首絞めて来たりしたら怒るからな。』

「しねぇよ。オラ上向け。」



……いや、だってお前前科あるじゃん。

しかも2回。さらに両方ともブックアウト寸前だぜ?俺。

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あきゅろす。
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