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極楽蝶華
濃度が違うと光はそこで屈折を起こします。
 


『なんだっつーのもー。』

せっかく葉月先輩が俺にかいがいしく世話をやいてくれていたと言うのに、さっきまで幸せだった視界を俺様に占領されて一瞬で不機嫌になってしまった。

いや、だってしょうがないよ。可愛いは正義だし。


ぐりぐりされる唇がつっぱってちょっと痛い。
俺の右肩から抱き込むようにがっちり掴んでいる俊の腕にホールドされて、身動きが取れない。


『んんぅ……っ、痛い。馬鹿。何すんだテメー。』


開いてる方の手で顎を掴まれ、親指で唇をグリグリ拭われる。


『まだ傷塞がってないんだからまた開いたらどーしてくれんだよ。またカレー食べらんなくなるじゃん。』 

ほんとにもー。


「……フンッ」



……今鼻で笑わなかった??




どぉぉぉぉぉせ食い意地張ってますよ。



俊と奈緒先輩と猛さんと不動で睨み合ってる間に、俺はカルボナーラを食い終わって一緒に付いて来たコーヒーに手を伸ばした。






「なあ……悠紀仁。お前そのコーヒー風味の砂糖水本当に飲むつもりか?」

アイスコーヒーに3個目のガムシロを入れたところで不動がすっごい嫌そうな顔で聞いてきた。


「苦いの駄目だっけ?」

誠も渋い顔してる。


『うぅん。ブラックでも飲めるけど……ただ甘いもんが好きなんだよ。』

「えー……でもゆきやんそれは入れすぎやろ。糖尿病なるで??」


えー。そんな変かな?


計4個のガムシロを投入し、ストローでカラカラ混ぜ合わせながら(少しだけ)真剣に考える。


「うわぁ……濃度が違うから上と下でグラデーションになってる……」


何?彰の人外の物でも見るような目ぇー。


「そんなに甘いもん好きならデザート奢ってやろうか?」



『え?!それマジ?!』

うっわ俊さん太っ腹!!



好きなもの頼めよ、とのお言葉に遠慮無く【ジャンボ生クリームパフェ】を頼ませていただいた。


『ヤベー。嬉しー♪
俊ありがとぉー。』


ニヤニヤしたら俊が目を逸らした。たぶん怪しい顔してるんだろーな。
 

だってねー。昼飯はカードだから朝飯・夕飯と別会計で勝手に学園用の口座から引き落とされるけど……

高いからあんまボコボコ頼みにくくて。


だからデザートは初めてだから超嬉しいー!!


「悠紀仁、まだ何か食べるんなら僕も奢るよ?」


『え?!やっったっ!!
ありがとぉー奈緒先輩!!
俺ソフトクリーム食べたーい。』



にまにましながら、パフェとソフトクリームの到着を待って別腹のスペースを広げた。

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