極楽蝶華
どぉーなぁてっるっの♪
『いやいやいや。不可抗力だって。半ば強制的だよ??』
『なー俺嫌がってたよなー』
横にいた不動に同意を求める。
「……微妙に。」
えー。なにそれー。
「嫌がる、……っつーかただ単にめんどくさかっただけだろ。」
写真を見てた彰からツッコミが入る。
御明答!!
『まー抱き着かれたりベタベタされたり過度なスキンシップは慣れてるからねー。』
「……誰に?」
……目が怖いよ不動君;
『ん?……あぁ、悠お―親父に。
ちっちゃい頃から過保護でさぁー。』
一同「なーんだ」って顔。
うるせー俺だってされるんなら可愛い女の子にでもベタベタされたかったわ。
「それより悠紀仁……記事も読んでごらん。」
『え?まだなんかあんの?誠。』
視線を新聞に戻す。
【――突如として寮のロビーに現れた彼は……濡れた銀髪と身体に張り付いたワイシャツ、開いた胸元から溢れ出る色香を撒き散らしながらエレベーター横に座り込んだ。
少し物憂げに伏せられた長い睫毛……半開きの口からは何とも悩ましい吐息が洩れている。
血痕の飛んだ服――肩から滲む血さえ白い肌に映える彼の舞台衣装の様だった。
溢れ出る色香に惑わされた生徒が三人、ふらふらと近づいて行ったが……立ち上がる事すらしなかった彼……閃光が走った後、全員が床に転がされていた。
提供された情報・写真でわかっている事は[一年生であるらしい(ネクタイの色より)][生徒会の方達と繋がりがある]という事だけ。
今後新聞部では一緒に写真に映っている人達に取材を申し込む次第である。
中でも、少年が自ら身を屈めて口付けをしていた久遠副会長には何としても事情を聞き出す。
ただ今新聞部ではこの少年の情報を求めています。重大な情報の提供者には謝礼も用意しております。どんな小さな事でも知っている事があればご連絡ください。】
……何だこれ。
とりあえず目が滑る滑る。
寮のロビー、濡れた銀髪、でとりあえず俺に関する事書いてる記事だと言うことはわかったがその後の内容が全然頭に入ってこない。
読んでるふりをして目を文章に沿って動かしてたら最後の「情報を求めてる」だけ脳みそに引っ掛かったので、取り敢えず俺が誰だかわかんない探してますって事だな、と補完した。
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