極楽蝶華
俺も走れば棒に当たる
と、言うわけで。
ただ今深夜一時。
ジャージ着込んでジョギングしてます。
走ってるとズレてくるもんでカツラと眼鏡ははずして来た。邪魔だし。
体育の時とか……ズレ予防になんか考えなきゃだなぁ。
頭の隅で考えながらフードを目深に被りなおした。
さすがに今の時間外歩いてる奴なんてそうそういないけど一応、な。
そういや琉崎はなんであの毛布の塊が俺だって判ったんだろ。
はだけてたのかな?
言ってて悲しいけど身長とか体格とか毛布の上からでもわかるほど特徴的なとこは流石にないしなぁ。
ダチからはいっつもからかわれるけど、実際俺の身長体格はこの歳じゃ普通だし。
まぁいい。
なまり切った体は動かしても動かしてもまだ足りない。
それでも、あんまり激しく動く事も出来ない。一応病み上がりだし。
もうこの辺でいいやー。
帰って熱い風呂に入って寝よ。
中途半端な場所で向きを変えて元来た道を走り出そうと地面を蹴った。
「っおい……待て。なんで逃げる。」
ら、いきなり向きを変えたばかりの背後から声がして心臓が跳ねた。
……あー、べっくらこいた。
走ってた俺の前方に人居たんだ。見えなかった。
『いや、違います。用事思い出したんで部屋に戻るんです。』
律義にも返事を返す俺。
……返さなきゃ良かった。
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