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極楽蝶華
行ってくるね
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……軽い。


華奢な体躯を抱き留めてまずそう思った。


ちゃんと食べて……るな。

と、食堂での様子を思い出した。


何だろう……体質か?


綺麗で、華奢で、愛しくて……強い。

視線を下に落とし、半ば意識を失うように眠り込んでしまった悠紀仁を見た。

肩に触れる額は熱を帯びていて……緋色に染まった頬が何とも言えぬ官能的な色味を醸し出して。



俊の部屋の隣……副会長である自分が使っている部屋の扉にカードキーを通し、ぐったりとした悠紀仁を抱え上げ中に入って行った。





寝室に連れて行き、ベッドに寝かし付けてやっとひと心地つく。


汗で顔に張り付いた髪の毛を分けてやり、弧を描く利発そうな額に口付けた。


さっきまで自分自身のセーブすら効かなかったのに、いまはこんなに心安らかでいられる。

不思議だ。こんなに愛おしい。



手を加えずに綺麗に整ってる眉、紅色に色付いた瞼、影が出来るほどびっしりと生えそろってる長い睫毛、綺麗な鼻筋、

……視線が唇で止まった。




……歯型……



誰の物かは判らないが、自分以外に悠紀仁に触れた人間がいる。


腹部に残る鬱血の跡の事も思い出して嫉妬に似た……嫉妬よりも激しい感情が湧き出て来た。



パーカーの衿口から覗く白い胸元に顔を埋める。




―チュク―


花が散った様な跡が二つ、鎖骨の上に乗った。



『……チッ』

身体を起こして腕時計を見る。



タイムオーバー



机の上に置いてあったファイルを掴み上げ、部屋を出て行く途中……


もう一度ベッドに屈み込んで瞼に口付けた。


「ん……」


自分の下で小さく声が上がる……



顔をもう一度見つめて、かなり名残惜しく部屋を後にした。

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あきゅろす。
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