極楽蝶華
イイ匂い
「……え?」
いきなり言ってることを180度変えたので奈緒先輩が聞き直してくる。
『いや、ちょっと今鍵を持ってなくて。
……でも、具合悪くて……横になっとかないと、ヤバイ、かも……。しれません。』
頭痛で目の前がチカチカして来た……
『こんな酷い風邪引いたの何年かぶり、で……』
目の前、奈緒先輩から……イイ匂いがした。
鼻腔を満たしたその香に、意識が奪われて……なんだか、安心。
煙草臭い琉崎の寝室も何と無く居心地は悪くなかったが……この匂い、奈緒先輩の……香水、かな?
重力が身体を支配する感覚が消えた。
「……悠紀仁っ……!!」
名前を呼ばれた後柔らかい感触に抱き留められる。
ぎゅう、と
キツク抱き寄せられた先で、縋るようにまた腕の力が強められた気がした。
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