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極楽蝶華




「こいつが100%悪いんじゃねーだろーが。」

「いてっ」


ぺしっ、と軽く頭をはたかれた悠紀仁が長身を見上げた。


「ちゃんと見てないと子供みたいなバカやるのは知ってただろ。
他の奴らと違って、こいつはお前の言うことしか聞かないの分かってて何で放置した?」

「……したくてした訳じゃ……」

「夏休みになったら戻るから、イイコにして待ってろと、なんでその一言が言えなかったんだ?
学校にパソコンくらいあるだろ。公衆電話も。そこからメール送るとか、この店に電話かけるとか、いくらでも連絡手段はあったはずだ。」

「……ごめんなさい。」



教師に叱られる学生、といった感じだった。……悠紀仁の周りに対してなるべく嫉妬はしないと、さっきの事を反省しながら観察してたらきちんと物が見えてきた。

獅子緒先輩の事は純粋に怒っているみたいだが、久遠先輩みたいにわざと……必要以上の執拗な攻撃や、嫌味ったらしい言い回しをしているわけではない。


この人は……悠紀仁をからかうし、必要であれば叱りもするけど、恋愛感情は持ってない。
多分、「仲の良い年の離れた兄弟」とか、そんな関係なんだろう。

失礼な口きく前で良かった……



「獅子緒も、せめて幼稚園は卒業しろ。泣きわめいて暴れるんじゃなくて、きちんと言葉を使え。
癇癪起こしたらまた殴るぞ、きちんとした口きくまで頼み事なんて聞いてやんねーからな。」

「……スイマセン。」

「分かればいい。」




今アイツ、すいません……っつったか?
悠紀仁以外に謝罪の言葉を口にするところは初めて見たので、思わず二度見してしまった。

それにしても……この人がこうやって素直に従うっつー事は、ホントに悠紀仁に特別な好意は抱いてないみたいだな。……敦さんみたいに。



「また夏休みになったら戻ってくるんだろ?」

「うん、……あー、レオ、学校いつまでだっけ?」

「確か金曜が終業式だったよ。」







「待て、お前ら今同じ学校にいるのか?」

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あきゅろす。
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