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極楽蝶華
ヘタレの決意
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昼からこっち、全然悠紀仁と絡めてない。

ゲーセンだって、犬の耳は茶色の垂れてるヤツ1つしかないと言われて、……別に、本気で悠紀仁に可愛がってもらいたかった訳じゃないけど、
クソ可愛くねーのに先輩達相手に喜んでる悠紀仁見てヤキモチ妬いたのは否定しない。


今だって、悠紀仁はチームの連中に囲まれて自分の近況交えて話をしている。
……お前がいつでも人の輪の中心だって、分かってるけど心がささくれる。


俺の知らないコミュニティで、俺の知らない場所で過ごしてきた悠紀仁がいるって事と
たったそれっぽっちの事実に……当たり前の、事なのに、ムカついてる自分の器の小ささにムカつく。




……ホントに、情けねぇ。






……昼も、透がファストフード店で敦さんに「通過儀礼」を受けたけど。
敦さんに対しては、その最中ずっと刺々しく接していたが
アイツは悠紀仁には絶対に傷付けるような言葉を言わなかった。
悲しそうな目をして。ただ一言

「俺はまだ好きでいてもいいですか」、と。

その意図を理解しない悠紀仁に、少し困ったように笑って見せただけだった。



……俺は、きっと
俺があの立場だったら、悠紀仁が傷付くような……心配するような、独り善がりな態度を取らずにいられなかっただろう。



あっそ

なんてぶっきらぼうに言い捨てて、不機嫌なのを隠そうともしないで拗ねた子供のようにあの場から消えていたんじゃないか。


一方通行の恋愛カンジョー向けられて、理解してない悠紀仁に「なんでこんなに好きなのに、気付いてすらくれないんだよ」なんて理不尽にもイラついたりして
またあいつが「俺なんかした……?」って酷く心細そうな顔をするのを見て、やっとそこで後悔するんだろう。




「不動、どーした?
眉間にシワ寄せたまま固まってるけど。……どっか具合悪いのか?」



ホラ今だって、悠紀仁に気を遣わせて。……それが、嬉しいなんて身勝手にも思ってしまったり。



少し離れた場所で地元の友人と談笑していた悠紀仁が、気付いたら俺の顔を覗きこんでいた。
コップを持ったまま移ってきたらしい悠紀仁を追いかけてか、何人かぞろぞろついてきたせいでテーブルの周りの人口密度が高くなる。

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あきゅろす。
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