[携帯モード] [URL送信]

極楽蝶華
4
 



「あ、の……隆也さん。」

「はい。何でしょうか。」

「その……やっぱり、言い過ぎって思いますけど……
……そんな風に、大切に思っててくれて、……アリガトー……ございます。」




顔を赤くして、恥ずかしいのか……お腹の前で組んだ指をもじもじさせながら答える悠紀仁に……返事を返された隆也本人を含めた、その場にいる全員の心臓が撃ち抜かれた。




っ、……前に僕が談話室で「大好き。一番大切で、悠紀仁だけが特別だよ?」って言った時とどうして大差ない反応してるの悠紀仁はっ!

近付いたら危ないタイプの人間だよ、確実に。こいつ。
それで、何でこんなヤバイ類いの好意向けられて「ありがとう」なんて返すの。


あぁもう、危機感なさすぎて死ぬほど可愛い……







口に出して言うことのできないフラストレーションを溜め込んで大きくひとつ息を吐いた。
向こうでは、村上への反応を目にした輩が、自分も自分もと悠紀仁に好き好き言い出して収拾がつかなくなっている。

……当の悠紀仁は、村上の告白を越える恥ずかしさは無いようで(当たり前だが)
未だ顔に少し火照りが残っているが、馴れたらしくいつもの調子を取り戻して
「あー、はいはい、ありがと。」
と十把一絡げにおざなりな対応をしていた。



「ちょっと、総長!テキトー過ぎじゃないですか、返事が。」

「はいはい。」

「ちょっ……グラタンに向き直るのやめてくださいっ!俺はふざけてなんかないんですよ、本気で……」

「はいはい。」


ヒートアップした周りを軽く手で制して、やれやれと言った顔をした悠紀仁は本格的に食事に戻ってしまった。
村上のは本気で照れてたみたいだけど、残りのはそれに便乗した戯れだとでも思ったらしい。タイミングが悪いんだよね、残念。照れた可愛い顔見たかったらもっと頭働かせないと。


僕も参戦しようかと思った、けど。
……学校に帰ってから、二人っきりで、思いっきり甘やかしながら悠紀仁の照れた顔を堪能しようっと。
こんな場所じゃ邪魔が多いからね。

[*前へ][次へ#]

142/191ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!