[携帯モード] [URL送信]

極楽蝶華

 

「おっ……俺の方が……ユウさんの事好きだし!」


……一気に内面の話まで飛んだな。
他の客観的に分かるポイント全てにおいて敗北してる事を悟ったのだろう。諦めは良いようだ。




「そうでしょうか?」

「……ユウさんの優しいとことかっ!
天然入ってるし、可愛いし、人の陰口言わないし……料理上手で、俺が免許取るとき効率の良い勉強の仕方教えてくれて……」


……悠紀仁はどこに居ても恋慕寄せられまくってるんだなぁ。
友達って認定した相手には全力で優しくしてくるんだもん……好きにならない方がおかしい。




「私は、悠紀仁様が好きですよ。」

「だから……付き合い浅いくせに、どの口が」
「悠紀仁様が御学友と楽しそうに遊びに興じている時の表情が好きです。甘いものを食されているときの幸せそうなお顔も、数学の問題集に向かって難しそうな顔をしているときも、
学校で、帰宅後のお部屋で、私の横で、私に見せてくださるありとあらゆる表情が大好きです。
信念を持っていらっしゃって、周りに厳しいお言葉をかける事もありますが何よりも自分に厳しい。……そして友達思いで……自分が侮辱されるよりも、ご友人にその矛先が向いた時の方が悠紀仁様は強く怒りを表す、その心意気には感動すら覚えます。
また、悠紀仁様は、ご自分に敵意を持っている相手にすら慈悲の心を持って接されます……その時はあまりの器の大きさに【私の主人はこの方しかいない】と再認識しました。

そして悠紀仁様ご自身はとても男らしいものの考え方をなさるのに、身の振る舞いが、表情が、指の仕草のひとつひとつがあまりにも可愛らしのが抱き締めたい程に愛おしいです。
……一度、腕の中から涙目で見上げられた時など可愛すぎて絶頂すら覚えました。
好き、一言ではなく守ってさしあげたい、御傍にいたい、微力ながらお力にりたい、これからのあの人の行く先で私が出来ることが少しでもあるならば何でもするつもりです。」







息継ぎ以外で言葉を止めなかった村上が、呆けた顔をする口論相手に向き直ってやっと周りの時間が動き出した。


「人の想いは測るものではありませんが……少なくとも、私に劣る人間には悠紀仁様と特別お近づきになることは許しませんから。」




……今、考える素振りすら見せなかった、よね。

あの長〜〜〜い、悠紀仁へのラブコール。

……正直、恐い。得体の知れないモノに対する寒気を感じる。
いや、僕だってさ、悠紀仁に口説き文句くらい言うけど?まぁそれは……悠紀仁が照れたり、拗ねたりするのが可愛いからであって。
わざとやってるんだよ、僕は。



こいつ、素でしょ?
ドン引かせようとか考えてた訳じゃなくて素で今の長い台詞頭からスラスラ出てきた訳でしょ?

いや……ない。
確かに獅子緒とかもオカシイ所あるけど、こいつの方がヤバい。

[*前へ][次へ#]

140/191ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!