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極楽蝶華

 


「まったくお前は……敦の話じゃ良いところのお坊っちゃん学校に行ったって話だったが、変わらないみたいで安心したよ。」

「うん、友達もたくさん出来たし。」


「え……そう言えば今日連れてくるのって新しい学校で出来た友達だって……」



ぽつりと誰かが呟いた言葉に、トモさん含めた数人が俊、猛、春日と透に視線をやって怪訝な顔をして見せた。
……まぁ確かに、お坊っちゃん学校に通ってそうには見えないかな。



「そう言えばライも最近見てなかったけど……いや、良かったよ。ユウがいなくなってから半狂乱になって誰の手にも負えなくなってたからな……ホント良かった、無事連絡とれたみたいで。」


トモさんの後ろで感慨深そうに数人が頷くのが見えた。……恐らく悠紀仁と連絡がつかなくなったせいで暴走した獅子緒に手を焼いた面子だろう。
まったくアイツは学園の外でも問題児なんだな。


「っ、たく!
お前は学校だけじゃなくてここでも迷惑かけてたのか!」

ごちん、と横の獅子緒の側頭部に悠紀仁のゲンコツが飛んだ。
結構な鈍い音がしたが、獅子緒は少し眉を寄せただけで気にする様子を見せず隣に擦り寄る。


「……俺の事置いてどっか行っちゃうユウが悪い。」

「うぉ、お前俺に責任転嫁するなよなー?……ったく。
トモさん、こいつ店の備品とか何か壊してない?」




壊してるだろうなぁ、と思いながら周りに視線を向けた。
あそこのテーブルだけ、スツールの数が不自然に足りない。カウンターの椅子は1ヶ所だけ床に取り付けてた跡が残ってるけど本体がない。
向こうのテーブルは応急処置だろうか、脚のうち1本に別の木材が添えられてガムテープでぐるぐるに巻かれていた。

……少なくとも床の跡とガムテープは古いものには見えないから、獅子緒の所為で間違いないだろう。


さて、また獅子緒が悠紀仁に絞られるのかと視線を戻すと

またしても、トモさん達が言葉を失っていた。

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