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極楽蝶華

 


事情を知っている面子以外がピリピリした空間で、獅子緒は特に気にすることもなく「我関せず」といった風に椅子に腰を下ろす。

……まるでそこが自分の指定席であるかのように、悠紀仁の隣へ。



学校に帰ったら生徒会で僕の部下になるって言うのにいい度胸してんじゃん、お前。



「あー……あいつは説明してないのか?まだ。
……喧嘩売りに来た訳じゃなくて、俺も含めた6人とも悠紀仁のツレなんだけど。」


「え?……ユウ、そうなのか?」

「おふぇん、ううのあふれへは。」

「飲み込んでから喋んな。」

「んぐ、ん……ふー。
ごめん、言うの忘れてた。」


やれやれ、と言う顔をしたトモさんと周りが、もう一人の……事情を知っていたのに教えてなかった澤村に視線を向けた。



「てへぺろっ☆」

恐らくこいつも言うのを忘れていたのか。
誤魔化そうとおどけて見せたのが見事に失敗したらしく、何処からか空のペットボトルが飛んで来て澤村の頭にコーン、と良い音を立てて着弾した。

ちなみに僕は、車に乗る前の……俊を相手にしたやり取りで何かしらいさかいを抱えているのは分かっていたが、黙っていた方が面白いものが見れそうだったので敢えて言わないでいた。
……うーんもうちょっと一触即発してくれても良かったんだけど?



「だらぁっ!今ゴミ投げて寄越したん誰じゃぼけぇ!」

「俺だよバカ敦!
……っ、てへぺろはお前がやっても可愛くないっ!それを免罪符に出来んのはユウさんだけだボケ!」

「つーかこんな危険人物連れてくるならちゃんと言っとけアホ。」

「ゆーだって言うの忘れてたじゃろっ!何で俺だけ怒るんっ!」

「え……あ、
……て、☆(>ω・)てへぺろっ?」


「「「っ!!」」」


澤村に水を向けられた悠紀仁が、片目をつぶりながらちょろっと舌を出す。
その茶目っ気たっぷりの仕草に、周りの男どもの時間が止まった。




……か、可愛い……

確かに、悠紀仁にこれをやられたら何でも許すな。



「……ユウ。」

「だ、って、トモさん……今ナツキがてへぺろやったら許してくれるって……
俺、俊が……シュンが抗争の相手だったの、気にしてるヤツもいるの忘れててさぁ、」


悠紀仁なら免罪符にしていいと、その言葉を真に受けて実行したらしい。
ナツキさんとやらはいい仕事をしてくれた。僕も今度使わせてもらおう。

それにしても悠紀仁、あの一言であんな悩殺アクションしてれるなんてチョロすぎでしょ……
これで本人はウケ狙いなんだからタチが悪いよなぁ……あーもう、衆人環視がいなかったら今すぐ押し倒してるくらい可愛い。

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