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極楽蝶華
問題児達の到着
 

「で、どうだい?アイツは。転校先でも相変わらず騒がしいか?」

『えぇ、いつも楽しく騒いでくれるので退屈しませんよ。』

「はっはっは。そりゃユウらしい。」

『転校してすぐ友達も出来たみたいですし……僕も仲良くしてもらってます。』


閉鎖的な場所で、特異な風習もあって。
悠紀仁は迷惑かもしれない、けど。悠紀仁が来てくれて僕は幸せな思いしかしてない。



「そうか。他のユウの友達は……12人で来るって聞いたけど……」

『あのカウンターで、澤村の隣に座ってる3人と、
……残りの6人はワゴンに乗ってたんですけど』


まだ着いてないみたいで。
そう続けようとした僕の耳に、扉の向こうから近付く喧騒が届いて問題児達の到着を知らせた。


『今着いたみたいですね。』


僕の言葉を掻き消すように、不機嫌な顔をした喧騒の主の1人がスチールの扉を思いっきりデカイ音と共に開けて中に入ってきた。



「ちょっおま、何でこっちに……」

「え……え?」



「遅れてた悠紀仁の友達」が来たのかと、僕や椎名達が到着した時のように何気ない視線を向けた数人が血相を変えて立ち上がった。

それと同時に向こうで悠紀仁を囲んで話し込んでいた全員が、先頭で入ってきた俊を視認した途端刺々しい雰囲気を纏って敵対心満々で睨み付ける。
……さっきまで、賑やかなムードだった部屋の中が突然戦闘体制に入ったかのように見えた。



「……シュン君は、店からこっちに来ないのは礼儀は守るからだと思ってたんだけど。今日はどう言うつもりなんだ?」

ピリピリしたムードの中、一歩前に出て俊に話しかけたのはトモさんだった。
今にも飛び掛からんという勢いの周りを片手で制して、長身の俊に正面から対峙する。



ここは通りに面した表半分が店舗だと話していた。
澤村なんかの話から察するに、恐らく俊がストーカー並に通いつめていたというのは「表の店」の方だろう。
口調は結構親しげに感じる。悠紀仁への誕生日プレゼントを預けたりしたらしいし、俊の事は知っているのだろう。

……悠紀仁も俊が何度かここに来ているとは知っていた。(目的が自分だとも、その頻度がストーカー並と言うことも知らなかったみたいだが)
すると、通いつめつつも悠紀仁本人に声もかけられない不器用な腰抜けだと承知した上で俊の事をうまーくいなしてた訳か。トモさん。

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