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極楽蝶華

 


「あ……どーも、今晩は……初めまして。」

「……ども。」

「あー……えっと、俺……翔太っつーんで、ヨロシク……」

「ジョージです……初めして。」

「久遠くん……久遠さん?えーっと、初めまして。」



1人目は……少し不満顔。ただその表情は「俺達の総長なのに」と、お気に入りのオモチャをしぶしぶ貸してやってる子供のそれ。
悠紀仁を見る目はただの好意には見えないが、恋愛ではない。……恐らく尊敬か、酷くてもただの心酔。


2人目は……要注意だな。
明らかに僕に対する憎悪が見てとれる。本人が自覚しているかは分からないけど、牽制しておいた方がいいだろうな。

残りはひっかけには乗らず、向けてくるのは単純な好奇心だけ。




不機嫌そうな2人はほっといて、まともな挨拶を返してくれた3人と自己紹介を交わす。
向こうの中に牽制する必要のある人間がいるかの確認は後でいいかな。

タイミングも誰も彼も構わず悠紀仁の周りの人間を全員威嚇してたら、鈍感で一人だけ気付いてないのにヤキモチの板挟みにされる悠紀仁が可哀想だからね。
 



……僕は悠紀仁がいるときはちゃんと考えてるよ。僕は、ね。まぁ、そりゃあ俊や猛や春日に馴れ合いの延長みたいなイジリはするけどさ。
今まで生徒会で本っ当にさんざん迷惑かけられてるんだからこのくらいは許されると思うんだよねー。


でも今朝の……獅子緒との言い争いは悠紀仁に見せないようにするべきだったな。
外交カードに「男遊びその他を悠紀仁にバラす」って選択肢を使ったのは僕だったけど、獅子緒を従わせるために悠紀仁の前でやったのが誤算になった。
だって……あんな、ホントに自業自得の謹慎に同情して外出止めるとか言うと思わなかったんだもん……


もっと上手くやらなきゃ……今度は見えないように。
……あの子は、自分の友達同士がいがみ合ってるとスゴく悲しそうな顔をするから。
あんな顔、もう2度とさせたくない

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あきゅろす。
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