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極楽蝶華
何よりも気になることは
 


『あ、そうだ……奈緒先輩。』

「なぁに?
……続きは学校に戻ってからね。」

『その話はもういいんですよっ!……まったく……
そうじゃなくて、車の中で話してた話です。』

「名前の事?
悠紀仁は気にしなくていいんだよ?僕の特別なんだから。」

『そっちでも無くて……しゃべり方の事。』


でも実際問題今更「久遠先輩」とか呼ぶの無理だな。もうこれで慣れちゃったから違和感半端ねーわ。


『仕事の事とか……どうしても作んなきゃなんないときもあるだろうけど、今日は完全オフのプライベートの筈でしょ?
……俺が一緒にいるのに、よその人に向ける顔を奈緒先輩がしてるの、何か……やだな、って。』

「……、」

『お、俺のっ……こっちでの友達も、みんな良い奴らだから。ここ学園じゃないから、変なフィルターかけて見る人いないし。
……俺、奈緒先輩のことがスゴく好き、だよ。さっきみたいに作んなくても、みんな絶対奈緒先輩の良いところ分かってくれるから、……。』


言葉を返さない奈緒先輩に、言い方を間違えたかと慌ててしまい、続ける言葉が思い浮かばなくなってしまった。
黙ったまま目を見開く奈緒先輩に、焦って説明すればするほど自分が何を言いたいのか分からなくなっていく。

ただ俺は、いつもの生徒会室の奈緒先輩みたいにして欲しいだけなんだよ。
最近彰とかの前でもよそ行きの顔しなくなったし、さっきカゴメさんや智美さんにも初対面だけど素で喋ってたのに。

さっきのしゃべり方、俺ら以外の学校の人にするようなヤツだった。……警戒してるのかな、ってちょっと寂しかったんだ。

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あきゅろす。
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