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極楽蝶華

 



「そんな話してたんだぁ。僕も聞きたいなぁ、悠紀仁のこと。」

『そう……ですか、』


もう、まともな返事を考えようとしても頭が働かない。


指を扱くように動く奈緒先輩の手が、絶妙に強弱をつけてくる。
時折指の間の敏感な所を爪先でくすぐってくる。
手のひらの中心を指の腹でねっとりと撫でる。
俺の指と爪の間に先端をねじ込んできて、見立てた「モノ」を意識しろとばかりにわざとらしくそこをくりくりと弄り回す。


俺の息が浅く、熱を孕んできたのを見て奈緒先輩の口の端が上がった。
「嫌なら手を振り払えばいいんだよ?」と語るその目に何故か逆らえない。


指になんて性感帯はないはずなのに、下っ腹に熱を感じる。
怒っている、のに。
手を無理矢理ほどくだけで逃れられるのに。


「悠紀仁、どうしたの?酔っちゃった?」

『っ!』


きゅ、と先端を最後に強く握って、絡み付いていた指が離れていった。


「あれ、大丈夫ですか?総長。
スイマセン、もう少しで着くんで。」

『だい、じょうぶ。
寝不足なだけ、だから……』


まったく、この人は……ッ!!


非難たらたらに睨み付けると、笑みを崩さぬまま見せつけるようにねっとりと唇を舐めて見せてくる。

ただそれを見ただけなのに、触られていた指から痺れるように熱が上がってきて思わず目を逸らしてしまった。





あぁもう、なんでこんな……!!ただ手ぇくすぐられただけなのにっ、何なんだよこの人は!

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