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極楽蝶華

 


「あ、老けて見えるとかじゃなくてしっかりしてそうって意味でね。俺が高校生の時とか久遠くんなんかよりずっとちゃらんぽらんだったからさー。
あ、あとタメ口でいい?」

「それはもう全然。
僕の口調は気にしないでください。相手が年上だとどうしても敬語になっちゃうんで。」

「わー、久遠くんマジ俺よりよっぽどしっかりしてるわww」


人当たりの良さそうな笑みを浮かべながら運転席と言葉を交わす奈緒先輩。
その間も左手は動きを止めることなく俺の指に絡み付きながら肌の上を滑る。

よく磨かれた奈緒先輩の爪が、俺の指の間の皮膚を軽く引っ掻くようにくすぐる。
……自分の手なのに、そこがこんなに敏感だなんて知らなかった。


絡み合うそこから、まるで縫い付けられたように目を離すことができない。
ただ手が触れているだけだと、言ってしまえばそれだけの事のはずなのに、



『っ、!』

指が一瞬ほどけて、今度は俺の人差し指だけを包み込むように軽く握ってきた。
その手が、ゆっくりと動く。指をアレに見立てているのか、まるで性行為をするような

その、感触だけでわかるやらしい動きに、今度は下を見ることすら出来なくなった。


何のつもりだと非難を込めて睨み付けたが、止めるような素振りはない。

ちょっと、何のつもりなんすか。


「いえ、獅子緒……ライとかレオって呼ばれてるあいつ。正真正銘の高校2年生ですよ。
誕生日は知りませんけど留年もしてないから今16か17です。」

「マジかよ……フツーに酒飲んでんの不自然に思ったこともなかったわ……」

「悠紀仁も、獅子緒の歳の話とかしたことなかったの?」


『あっ、レオ……は、俺の事はよく聞いてくるんですけど、自分の事あんまり話さないんで……』


いきなり、話をふられて言葉に詰まってしまった。
ただ聞いているだけだった話の内容を必死で手繰り寄せて、何とか言葉を続ける。

『……ただ、俺も、好きな物の話とか、バイクとか、格闘技とか、スポーツ選手とか、食べ物とか、そんな話ばっかで……
家とか、学校とか、そーゆー話は……しなかった、から。』


いっぱいいっぱいになりながらやっとの事で俺は喋ってるのに、その間も愛撫は止むことはない。

少しぐらい俺だって怒ってる、のに、
奈緒先輩は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべたまま、俺の指に手婬を続ける。

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あきゅろす。
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