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極楽蝶華

 





「……猛ニィ、俺の膝の上に勝手に荷物置くなよ。」

「デジカメ使いすぎたせいでバッテリー熱もっちまってさぁ。持ってると暑くて。
俺は悠紀仁の待ってる店までコールドスリープに入るかな……あ、透、きちんと持ってろよそれ。メモリー抜いてあるけど床に置いたらアイアンクローかけるからな。」

「……冷房もっと強くなんねーのか。オイ。」

奥に並ぶ兄弟が3人。


「調度良かったですね、春日。悠紀仁様もいらっしゃいませんし、帰ってからの仕事の段取りを説明させてもらいます。……車が目的地に停まるまでに全部覚えてください。」

「マジかよ……俺三半規管弱いから酔いやすいんだけど……」

「それが私に何か関係あるんですか?……あぁ、吐きそうになったなら車停めて降りてください。置き去りにして差し上げますので。」

すぐ後ろのギスギスした二人



「オイ、泣いてねーでさっさと出発しろよカズ。」

助手席に構えるのは、飼い主不在の気の立った猛獣。



「うぅ〜〜っ、うっ、う、」

反抗する一言すらも浮かばず、車内の険悪な空気から目を背けるようにフロントガラスの向こう側に視線を投げた。
いっそ、意識も遠くに飛ばせたらどんなに楽か……




そして、運転手にとっての地獄のようなドライブが始まった。

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あきゅろす。
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