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極楽蝶華



「……そう、ですよね。スイマセン。注意してくれてありがとうございます。」

見かけによらず一番素直な俊くんが、最初に謝罪の言葉を口にした。

『そうやって礼儀正しいところと、すぐに自分の間違いを認められる所はすごく良いと思うよ。
……ユウちゃんに対してその10分の1でいいから、素直になればいいのに。』


「えっと……あの、俺も……スイマセン、小さい子供怖がらせるとこでした。
……ちゃんと考えられるようになります。」

『……不動君もさぁ、ユウちゃん本人にちゃんと言うこと言わなきゃ何も進展しないのわかってるでしょ?
ユウちゃんは良い意味でも悪い意味でも鈍感なんだから。』


言われた本人が苦い顔をして目を逸らす。
スイマセン、ともう1度謝罪の言葉を呟いて頭を下げた。


「俺は……違うんです。
ヤキモチじゃなくて……」

『なくて?』

「……悠紀仁さんの……俺に対する態度と、めぐちゃんて呼んでた……カゴメさんの娘さんへの接し方が同じだったから……」

『で、面白くなかった、と。』

はい、と項垂れながら頷いた透くんが不貞腐れる。
店の中では甘やかされる?可愛がられる?ことに満更でも無かった様子だったが、それが【特別扱い】ではなく【子供扱い】だった事に気付いて男としてプライドが傷付けられてしまったようだ。


『ユウちゃんが無防備で鈍感って分かってたんでしょ?だからこそ君たちは惚れたんでしょ?
普通のアプローチじゃ無理だよ。……少なくとも、つまんない意地はってる間は気付いてすらもらえないよ?』


僕の言葉に3人とも顔をこわばらせて視線を地面に落とした。

うん、それでいいよ。ちょっと反省しなさい。……まったく人の娘にガン飛ばしやがってこのガキども。

そんだけ現実見れば、もう嫉妬なんかしてる暇ないって分かるよね?






「良いお母さんになりそうだよなぁ、あー……子供を可愛がる悠紀仁が可愛い。可愛すぎてリアルに辛い。マジ天使。」

熱心にデジカメのファインダーを覗きながら一人脳みそのチャンネルが異世界にぶっ飛んでるユウちゃんの友人の言葉が横から聞こえてきた。
……僕が見た限りじゃ嫉妬でユウちゃんの事傷付けたりはしなさそうだけど…………別の面でユウちゃんの事が心配。

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あきゅろす。
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