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極楽蝶華

 



「ユ、ユウッ!
俺もこれあげる。ね、使って?」


はい、と半ば無理矢理悠紀仁に握らせたのは散々苦心して獲得したクマのスリッパ。
それを履いてる悠紀仁が見たいと言ったのは本心なんだろう。今から楽しみにしてるのか物凄く幸せそうな笑顔だった。


「お、スリッパか。ありがとな。調度良いや、涼しくなって来たら寮で使わせてもらうわ。サンキュ。」


また悠紀仁も嬉しそうに、片方の腕でポーチとスリッパを抱えて二人にお礼を言っていた。

しかし涼しくなって来たら、の一言に獅子緒先輩が少し不満げな顔をした。


確かにぬいぐるみをそのままスリッパにしたような作りで、さぞかし冬は暖かいだろう。だが夏場にあのモコモコを足にはめるのは暑そうだ。
しかも、寒くなってからは知らないが悠紀仁は確か台所以外ではスリッパを使っていない。居間や部屋では素足で過ごしていた。


が、すぐにでも使って欲しいのが本心なのだろうが、それを言うのは流石に我が儘だと思い止まったらしく(悠紀仁にはちゃんと気を使うようだ)
悠紀仁と村上先輩がその場を離れてからも考え事をしながら辺りを見回している。


そのクマグッズがプライズ品として入ってるゲーム機はあと3つ、ぬいぐるみと貯金箱とティッシュケースカバー。
ストラップでもあれば良かったんだろうが、残りも全て部屋の外に持ち出して人目につくような場所で使うものではない。

多分、自分もお揃いにしたかったんだがスリッパじゃ周りの人が気付いてくれないと思って他に何か無いか考えたんだと思う。
(人に見せびらかせるものが良かったんだろ。)
暫く考えた揚げ句、また財布を取り出してさっきまで村上先輩がひっついていた機械に100円玉を入れていた。



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あきゅろす。
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