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極楽蝶華
意図的な錯誤は他にも
 


それじゃあ今まで、
この人のことを勘違いしてたのか?

灰斗の事一つにしても、矛盾を尋ねることすらしないで?



『スイマセン、俺、今まで……

久遠先輩の考えとか、今、初めて知りました……』



最後の方は尻窄みになった。
言いたかった事は、伝わっただろうか。


俺は、悠紀仁ほど人間が出来ていないから、
肩書きに畏縮しないで礼儀をわきまえた上で、久遠先輩達と一人の人間として付き合うなんて出来なかった。そう言い訳を言うのは簡単だけど……


「……スイマセン、俺もです。
ただ、怖い……としか、思ってませんでした。」

「……俺も、です。ほんま、スイマセンでした。」


他の二人も、ぽつりぽつりと謝罪を口にする。
やっぱり、真意を知ったのは彰も潤もこれが初めてのようだ。


「だから、周りにそう思われるようにしてたんだから無理も無いって。
“あぁ、この子可愛いな、狙われるだろうな”って思った子には積極的にちょっかい出すようにしてたのはそのせい。僕の事を好きな子達から嫌がらせくらいは受けるかもしれないけど、下半身の緩い男に手を出されるよりマシでしょ?

近寄り難い人間を演じてたのは、その方が自分の身を守るのも楽だったから。
でもまぁ、腹が黒いのは否定しないよ?……裏表ぐらい持ってないと、無事でいられないからね。」


『……はぁ。』


確かに、悠紀仁みたいな性格の人間なんてこの学園で生きていくには危なっかし過ぎる。

初期の久遠先輩が、食堂や教室でやたらと分かりやすく悠紀仁に構ったのはその所為……か?
いや、でも久遠先輩下の名前で呼ばせてたしなぁ……灰斗にもそんなことしてなかったのに。特別扱いはその頃からか。



「他の生徒会のメンバー……高裏と三船は問題無いよね。春日は最初から大丈夫っぽいし……
村上は……ちょっと僕も何考えてるか解らないからフォローのしようがないけど……仕事はすごい出来るし、物凄く真面目ってだけで悠紀仁も懐いてるし……僕は嫌いじゃないけど。

俊と、猛。この二人のことは君達から見て怖いのかな?」


『えっと……あの、はい。』

「俺は……その、正直村上先輩と高裏先輩も……怖い、です……。」

「……俺もです。」

俺もです。

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