極楽蝶華 この餌なら釣られざるをえない 「わざわざ二段仕込みのめんどくさいことやるんですね。」 まぁ最初からこれ見せて取引持ち掛けてもいいとは思うけどな。 「最初にユウちゃんのあの写真見せて反応見ないと。 本気なのか、とか、どれぐらい好きなのか、とか。 あとあのユウちゃんの写真を【欲しい】と心からの叫びすら口に出せないトゥトゥシャイボーイはこれからの発展なんて望めないんだからミリオンスマイルの写真は見せるだけ勿体ないでしょ?」 なるほど。 『ところで……これ、やっぱ今貰うのダメですか?』 「ユウちゃんとイチャイチャした話とその程度による。」 やっぱりか……あのクソヤローが原因の一連の話はしたくないしそれ以外だと俺キスくらいしかしてないからな…… やっぱ今日以降頑張ってそのオマケに写真もらうしか…… 「あ、智美さん、俺もらっていいっすか?」 「なーに? 前みたいな寝てるユウちゃんの唇と耳たぶぺろぺろしたってレベルの話ならあげないわよ。 それはそれで萌えるけど。」 智美さんに詰め寄る勢いで俺を押しのけたのは獅子緒だった。 こいつ悠紀仁の寝込み襲ってんのか……とふつふつと怒りが込み上げてきた所で、廊下で眠り込んでた悠紀仁を勝手に部屋に連れ込んで意識がないアイツにキスして抱きしめてちゅっちゅちゅっちゅしてた未成年者略取・監禁未遂の自分に対して 「どの口が言ってんだよ犯罪者」 と人を馬鹿にしたようにせせら笑う奈緒が容易に想像できて思わず言葉に詰まった。 ……いや、悠紀仁が悪い。 ずっと探してた片想いの相手いきなり見付けたら本能レベルで抱きしめたいって思うし、あんなとこで眠ってたらもっと寝心地のいいベッドに連れていってやりてぇって考えるのは当然だし、 あんな可愛い寝顔見せられたらキスしちまうだろフツー。 [*前へ][次へ#] [戻る] |