極楽蝶華
何事だ。
ふ、と何かを思い付いたような顔をしたカイチョーが智美さんの腰に腕を回して体を寄せる。
いやらしく笑って、耳に唇を寄せて思いっきり性的な臭いを孕んだ低音で囁いた。
「……じゃあ俺本体にはキョーミ無いワケ?」
……うーわエッロい声。
耳孕みそう。ぜってー悠紀仁に聞かせらんねーわコレ。
「え?やだ、ちょっと、やめてよカゴメさんの前で。」
そんなカイチョーに何も反応せず、冷静に腕を解いて顔を押しやる智美さん。
外見だけは御大層に整ってるアイツに抱き寄せられて1mmも嬉しそうな表情しねーであの反応とはマジで本体にはキョーミねーみてぇだな。
肘で突かれてから一人納得したような表情で軽く頷いてから、今度はカイチョーが悠紀仁の方に歩み寄る。
「あ?
なんだよ、マンガ読めねーだろ。」
「いーじゃねーか……ホラ、俺の膝の上でも読めるだろ。」
「あっ……?!
バカ、やめ……耳こちょばいっ!ヤメ…………ッ!」
いきなり、悠紀仁を抱き上げたカイチョーが自分の膝の上に乗せて耳を唇でハムハムやりはじめた。
オイテメー何のつもりだ喧嘩売ってんのかコラ、とつかみ掛かりそうになって
「っ!!……ッ!!」
『……?オイ、大丈夫か?』
横で、智美さんが口を抑えて前屈みになり、小刻みに震えている。
……具合悪ぃのか?
思わずカイチョーの事頭からすっぽ抜けて隣に声をかけた。
「……て、……じ……」
何か、呟いてる……?
「ヤッバヤッバなにこれ超萌える超滾る……ッ殺す気か……ッ!
あぁ、もう、生BLとか……堪らん……ッ
はぅあぅ、その手をもっとこう、乳首の方に……っ」
?!
「あー、俊、この人ホンモノだ。」
「やっぱ?……まぁ、なんか似てるなーとは思ってたけど……。」
「は?何がだよ。いい加減離れろよテメ、あ……バカ、くすぐってぇって!」
智美さんに耳をそばだてていた弟の方がカイチョーに声をかけた。
やっぱりって、何だ?
打ち合わせして様子もねーのに……こーゆートコだけは流石双子だな。お前らだけ以心伝心だろーけど外野はさっぱりなんだけど。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!