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極楽蝶華
……こいつ…………
 


「……はい?
幼い頃の悠紀仁様が今より可愛くないとでも?」

「ちげーよ、そうは言ってねーだろ。
ただ、女装に照れながら不機嫌そーに写ってるっつー、それこそ悠紀仁だろ。
不機嫌そうに尖らせた唇に吸い付きたいだろ。」

「前言撤回していただけますか。悠紀仁様は幼い頃も今も寸分変わり無く天使と見間違う愛らしさなんですよ。
そんな可愛さに波があるような言い方は止めてください。あと絶対に吸い付かせませんからね。」


変態と、変態がすぐそこで火花を散らしている。

やめろ、何処か余所でやってくれ。


「おい……俊、何とかしろよ、お前の弟だろ。」



横目で喧騒を見遣る久遠さんに脇腹を肘で小突かれたが、カイチョーは反応しようとしない。
明後日の方向に視線をやったまま、どうやら考えることを放棄したらしい。



そう言えば……昨日村上に「悠紀仁様は可愛いのは当たり前。わざわざ口に出すとか馬鹿かお前は」みたいな事を言われたっけ。
なるほど、頭オカシイっつー事は言葉の端々から滲み出てたのか。
何故気付かなかったし俺。



「……よしっ!
俺、これとこれで!お願いします!」

横の喧騒の中、琉崎んちの末弟は気にせず悠紀仁の写真をしっかり選んでいたらしい。
いい性格してるわ。


「ん?あら、いい趣味してるわねぇ君も。お名前は?」

「琉崎透です。そこの二人の弟で、中3です。」


透の手元を盗み見てみると、学ランの悠紀仁と、ピンクのフリフリ着た悠紀仁とが。
……俺も学ラン悠紀仁欲しい。
マジ悠紀仁が可愛すぎて学ラン着てるのに男に見えないとか……どんだけ悠紀仁可愛いんだよ。悪ぶって腰パンしちゃってるの(しかも顔が可愛いから似合ってない)とかもう……


一人モンモンと学ラン悠紀仁への思いを馳せていたら、いつの間にか頭ん中で学ラン悠紀仁を放課後人気の無い教室で立ちバックでガツガツ犯してて、気が付いたら写真の束の中から学ラン悠紀仁の写真をあるだけ抜き出して財布の中にしまっていた。


なにこれ本能って怖ぇ。

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