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極楽蝶華

 






一つ思い付いた。

会ってないんだ。ここ1ヶ月。……ユウちゃんとライちゃんに。


他の連載の締切があったので気付かなかった。週2かそれ以上の頻度で来ていたユウちゃん達が、最近うちに来ていない。




「そうか……最近のスランプは、萌え分を補給してなかったからか!!」


前はどうやって濡れ場書いてた?
目の前の二人がくっついたり、ライちゃんがセクハラまがいのボディタッチしてるのを見て
「あぁ、そのまま!そのままその手を乳首に……っ!」
と内から溢れ出る萌えに脳内の二人が勝手に動いていたじゃないかっ!!


私はその光景を描写していただけだ。


今……悟った。

私が今まで行っていたのは「読者を萌えさせる事」ではない。あの4冊は他の連載とは違う。
「神から与えたもうた奇跡と言うべき二人の萌えっぷりを私の腐ィルターを通して読者の皆様におすそ分けする事」だっ!!



「よし、そうと決まれば……まずは田中さんに連絡して、ユウちゃんにメールして……。」


田中、と言うのは小説家としての智美の担当編集者である。
恐らくこのあとの打ち合わせを「ちょっと取材して来る」の一言でドタキャンされるのであろう。

幸い、普段の連載とは違いこのシリーズは書き下ろしで作られている。まだ最終稿の締切まで大分時間があるのが彼にとって救いだ。


恐らく特に何も言われずキャンセルが出来るだろう。……問題は悠紀仁の方だ。


「ケータイ……気付くかなぁ、メール。」


メールでも電話でも一緒だ。両者ともケータイを携帯してないとまったく意味が無いのだ。
また家に置き忘れていると連絡がつかない。


まぁいいか、と悠紀仁へのメールを送信して風呂場に足を向けた。
そうなったらなったでVogueに行けばどうにかなる。ユウちゃんはいないかもしれないが、あそこの子達は全員ユウちゃんのこと大好きだから誰かしら居場所を知ってるに違いない。

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あきゅろす。
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