極楽蝶華
2
□■□■□■□■□■□■
『……んー』
寝返りを打つと何かあったかいものに触れた。
その違和感にうっすらと目を開けてみる。
『……ゆ、きひとっ!!』
綺麗な顔の友人が横で寝息を立てていた。
「……はょ、朝だよ。」
人懐っこそうに笑う、端正な造形。
心の準備無しに間近で見て、心臓が跳ねた。
『な、な、なんで?』
「起こしてくれって言ったじゃん。」
『いや、じゃなくて……なんでここにいるの?』
「……ケータイ、水没させちまってさ。
で、頼まれた事はきちんとやんないと嫌だし。で、直接起こしにきた。」
ブッ
「……笑うなよぉー。」
『ごめんごめん。
じゃあ今日はゆっくり朝飯食えそ……
……どうした?悠紀仁』
様子がおかしい。
「……あっ、ごめん……。
……俺、今熱あるんだわ。灰斗は知ってると思うんだけど……先生に休むって言っといてくれねぇ?」
『わかった。大丈夫なのか?お前。』
熱があるのか、顔が赤くて目が潤んでいる。
…………。
バ、バカ!何考えてんだ俺はっ!
友達だろ悠紀仁は!
「……ちょっと駄目かも。
まぁいいや。俺たぶん高裏さんのとこにいると思うから。また放課後な。」
『なんで?』
「具合悪くなって倒れてる所を拾ってもらった。
んでそのまま泊めてもらってる。ホラ、俺の同室者アレだし。」
『拾ってもらったって……猫か?
でもまぁ、確かにあの部屋じゃなぁ……具合良くなるまで先輩にお世話になった方がいいと思うよ。』
春日なら、病にふせった悠紀仁に手を出したりとか有りそうで怖い。
高裏先輩なら常識人だしその辺は心配無いだろ。
……うーん、なんか悠紀仁は猫って言うより兎か。
うん。ぽいぽい。
「だろ?絶対今戻らないほうがいいよな。
……で、あとさー。潤に電話かけて起こしてやってくんない?」
『あぁ、わかった。』
あいつ一人で起きられるくせに、甘えやがってー。
「じゃー俺高裏さんのとこ戻るわ。心配かけるかもだし。」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!