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極楽蝶華

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『……んー』


寝返りを打つと何かあったかいものに触れた。


その違和感にうっすらと目を開けてみる。



『……ゆ、きひとっ!!』


綺麗な顔の友人が横で寝息を立てていた。


「……はょ、朝だよ。」


人懐っこそうに笑う、端正な造形。

心の準備無しに間近で見て、心臓が跳ねた。


『な、な、なんで?』


「起こしてくれって言ったじゃん。」


『いや、じゃなくて……なんでここにいるの?』



「……ケータイ、水没させちまってさ。
で、頼まれた事はきちんとやんないと嫌だし。で、直接起こしにきた。」


ブッ


「……笑うなよぉー。」


『ごめんごめん。
じゃあ今日はゆっくり朝飯食えそ……
 ……どうした?悠紀仁』


様子がおかしい。


「……あっ、ごめん……。

  ……俺、今熱あるんだわ。灰斗は知ってると思うんだけど……先生に休むって言っといてくれねぇ?」


『わかった。大丈夫なのか?お前。』

熱があるのか、顔が赤くて目が潤んでいる。

…………。


バ、バカ!何考えてんだ俺はっ!

友達だろ悠紀仁は!

「……ちょっと駄目かも。

まぁいいや。俺たぶん高裏さんのとこにいると思うから。また放課後な。」


『なんで?』


「具合悪くなって倒れてる所を拾ってもらった。
んでそのまま泊めてもらってる。ホラ、俺の同室者アレだし。」


『拾ってもらったって……猫か?
でもまぁ、確かにあの部屋じゃなぁ……具合良くなるまで先輩にお世話になった方がいいと思うよ。』


春日なら、病にふせった悠紀仁に手を出したりとか有りそうで怖い。
高裏先輩なら常識人だしその辺は心配無いだろ。


……うーん、なんか悠紀仁は猫って言うより兎か。
うん。ぽいぽい。



「だろ?絶対今戻らないほうがいいよな。
……で、あとさー。潤に電話かけて起こしてやってくんない?」

『あぁ、わかった。』

あいつ一人で起きられるくせに、甘えやがってー。

「じゃー俺高裏さんのとこ戻るわ。心配かけるかもだし。」

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あきゅろす。
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