極楽蝶華 いわゆる腐女子 「ねー、その小説の、俺をモデルにしたキャラクターが主人公なんでしょ? 前から読みたいのに智美さんいくら聞いてもペンネームもタイトルも教えてくれないんだもんなー。」 「ともちゃん、ゆうちゃんに読まれるのが恥ずかしいんだって。」 「それがわかんないんですよ。 レオがモデルのキャラもいるのにどーしてレオには教えて俺はダメなのか。」 決定だ。・・・・ともみさん、の書いている小説はボーイズラブの、恐らく年齢制限がある類のもの。 それにしても、女性とは言え妄想であっても悠紀仁さんを裸に剥いたりどうこうして欲しくないんだが。 そして、多分だけど悠紀仁さんの相手役が獅子緒さんなのが気に入らない。 本人に 「年下攻めとかどうですか」 とか言ってみようか。 いや、ちょっと虚しいからやめておこう。現実でそうなればいいだけだし。 「それにしても、なおちゃん・・・・よくその名前知ってたわね。」 「あぁ・・・・その。僕も姉がいるんです。二人。 その二人が・・・・どうもそーゆー話が好きでして。」 警戒を解いたらしい奈緒さんがカゴメさんに苦笑いを漏らした。 カゴメさんの場合趣味でやってるが、小さい頃着せ替え人形がわりにお姉さん二人に遊ばれて女の子の格好をよくさせられてた奈緒さんにとってまったく別次元の話ではなかったんだろう。 「あぁ・・・・それでね。普通知らないからちょっと不思議に思って。 そうだ。外暑かったでしょ。何か飲む?アイスコーヒーとコーラと麦茶しかないけど。 でも言っとくけどうちのコーヒーはあたしが好きだから凄くこだわってるわよ?」 コーヒーの人、コーラの人、麦茶の人、 それぞれ手を挙げさせてカウントした後、それがおなじみらしく何の確認も無く悠紀仁さんのグラスの横にだけスティックシュガーどころの話ではなくシュガーポットが丸ごとついて出て来た。 どこにいてもやっぱり悠紀仁さんは悠紀仁さんらしい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |