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極楽蝶華
恋……人?
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言った。確かに言った。

「恋人がいる、しかも男ではない」、と。

目の前の澤村、と言う男が嬉しそうにその「恋人」とやらを紹介するのを、正直どう反応していいものか困惑状態になりつつ俺は訝しげな視線を送った。
(しかしそいつは気にする様子もない。完全に自分の世界に入り込んでいるようだ。)



手についたアイスを洗い終わった俺と一緒に席に戻ると、案の定俺の兄貴達を含めた5人が鬼の形相で澤村さんを待っていた。


「……な、なんね。
俺ぁ試験やっとるて最初に説明したじゃろ。」

「試験だろーがふるい落としだろーがどうでもいいんだよ。
……重要なのはお前が悠紀仁にキスした、……そこだけだ。」

「澤村君、……君さぁ、僕らの目の前でそんなことやってただで済むと思ってた?」


奥の席では村上先輩が無表情で
「口の周りが汚れてますから」
とか言いながら悠紀仁さんの唇を自前らしいウェットティッシュで丁寧に拭っている。
もしかしなくてもさっき澤村さんがキスした所為だと思う。


「べ、別に俺ゆーの事恋愛対象とかで見とらんもん!
けーも何か言うて!俺の事助けてよ!」


敦はいよいよテンパってきた。肝心の悠紀仁は両手に持ったアイスに夢中で敦がいかに大変な状況か気付いてすらいない。


「……敦の事は信用してる。」

「そうそう!」

「でも、ユウにキスしたのは正直ムカつくんだけど。……喧嘩なら買うけど?」

「ちゃうもん!売る気ないもん!
売ったところで俺死亡フラグ確定じゃもん〜まだ生きてたいもん〜!」

目は見えないが敦は多分半泣きだろう。



「お前知っとるじゃろ!俺恋人おるし……モチロン男じゃないで!ラブラブじゃけぇの!」


搾り出すように叫んだこの言葉に、兄貴達と奈緒さんが少し目を見開いた。

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あきゅろす。
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