極楽蝶華 着替え □■□■□■□■□■□■ 「……っ、……れないか?」 頬を軽く叩かれて混沌としていた意識がわずかながら覚醒した。 『……、に……』 目の前に高裏さんがいるぅー。 「……よかった。目を覚ましたみたいだな。――今医者を呼んだ。 じき来るだろうが……このままの格好じゃ身体に悪い。服を用意したから、着替えた方が良い。」 ……あー、確かに濡れたシャツが張りついて気持ち悪い。寒いし。 またお世話かけます…… 『……ありがとうございます……』 横に置いてくれた服をちら、と確認した。 着替えようとして立ち上がるが……倒れそうになる。 「……!……大丈夫か?!」 ふらつく身体が重力に誘われる寸前、高裏さんが腕を掴んでなんとか自立に引き戻してくれた。 『……スイマセン、俺……立ってらんないみたぃ――なんで、着替える間支えてもらえますか?』 「え?――いや…… ……わ、分かった。なるべく早く着替えてくれ。」 少しギョッとした顔をした後、オロオロと少し視線を左右に泳がせて、困惑した表情で了承してくれた。 ……それほど難しいことを頼んだだろうか。 とりあえずごめんなさい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |