極楽蝶華 ヤバくね? あーヤバイヤバイ。 これは本格的にヤバい。 床を踏みしめてる感覚が無くて頭がふらふらする。 ……部屋……すぐそこなのに…… 目の前のドアが壁含めて歪んでるように見える。 目が回る…… 目に映る景色の遠近感がおかしい。 熱で頭がやられたのかと思ってたら実際に廊下に敷いてあるカーペットが目の前に迫ってた。 『……っ、つぅ……』 受け身がとれずに倒れた時の振動がダイレクトに脳みそに伝わる。 あー……また少し馬鹿になった。 ――自分の鼓動が……うるさい―― 心臓と一緒に肩の激痛が跳ねる。 痺れるような痛みがじわじわと広がり、その余韻が消える前に――また血液が巡り、痛みが走る。 ――あったま痛ぇ―― ――冷えきった体……首から上だけが、鈍い痛みと共に熱を持っている―― 『――寒ぃ――』 夏だっつぅのに……なんだよこの温度。 ……体力の落ちた病人には厳しいです…… 全館冷房とか、……いらねぇーし。どんだけ金かければ気が済むんだよこの学校わぁー。 ゆっくりと下の方に俺の意識が沈んでいった…… [*前へ][次へ#] [戻る] |