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極楽蝶華
もう、あきらめ。
 


「だから広い風呂は一人で入っちゃ駄目なんです!!」


『……いや……オバケとか出ませんから
一回一人で入ってみたらどうですか?』

「……嫌です。」


嫌、といわれても……


「だいじょーぶだろうな、って思って俊んとこで一人で入った時……
……やっぱ一人だとちょっと怖くて。」

『…………』


悠臣様…………。


少し恨みますよ?



『……では、今度。』


私としてはなるべくなら悠紀仁様のご希望は叶えて差し上げたい……が。

やはり心の準備が出来ていないので口約束的にその場を濁してみたのだが。


「え、じゃあいつ平気ですか?」


…………。


悠紀仁様、私も男なんですけど。

いや、駄目だこの方はその辺りとても鈍くていらっしゃるから……


「そーだ……家帰ってからのお風呂もお願いします。
一人無理なんで。あんな広いところ。」


悠臣様ッ!!



「ダメだよユウこんな変人と一緒にお風呂なんか入っちゃあ!!危ない!!」

『貴様に言われる筋合い等無い!!……このッ、節操無しッツ!!』


「レ、レオも隆也さんも何でいきなり喧嘩するんですかぁっ!!」


……ご自分が原因だと気付いていらっしゃらない……

悠紀仁様らしい、と言えばそうなんですけど……
……まぁ、言っても無駄ですし。




…そろそろ部屋にお送りした方がいいだろうか。
もう大分遅いし、この話題は正直私にとって強すぎる毒でしか無い。


あまり遅くなると寮内とは言え柄の悪い連中が通路でたむろし始めるし……

その様な輩の前に悠紀仁様を曝せるか。


「ねー、ユウ、明日も来てよね?今日はもう遅いけど。」

「わかったよ。明日もな。」

「で、明日……朝からいないからまた夜に来て。」

「ん?分かった分かった。じゃあまた明日な。」


明日……私は仕事に追われているだろうからここに様子を見に来るのは無理だな。

いや、夜……この時間帯なら平気か?やはり早急な処理が必要だな。
……この腕ではどの程度使い物になるか解らないが。

……いや、今回は会長と琉崎副会長がいるから多少は変わるか……?

「……隆也さん、何難しい顔してんデスカ?」

『あぁ……いえ、何もありませんよ。少々考え事をしていただけですから。』


まぁ少々問題は残るが、何とかするしか無いな。
こいつと悠紀仁様を二人きり等にしておけない。

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