極楽蝶華
死角で肘打ち
『…………。』
斎は周りに言う様な頭の悪い人間では無いが、それとは関係無しにこのままここに居たらいつ一般生徒が来るか分からない。
……だが、悠紀仁様は見舞いに来た、とおっしゃってくださったし……しばらくは一緒に居たい、な……。
『……獅子緒、お前の個室に入るぞ。
お話は、そちらで……よろしいですか?今一般生徒に入って来られると色々と厄介な事になりますし。』
言いつつ左腕で既に圭介の胸倉引っ張って誘導している。
「掴むなっつーの村上ィッ!!」
『うるさいよ獅子緒。』
「ぐ……」
悠紀仁から見えない死角で鳩尾に肘を叩き込んだ隆也。
どうやら耳元で怒鳴られて本気うるさかったらしい。
「はは、レオもそんな元気なら心配なさそうだな。」
『獅子緒には最初から心配なんて無用ですよ。』
「確かに、怪我してすぐもピンピンしてましたよね。」
ころころ、と明るく笑う悠紀仁様。
いえ、自業自得ですから。
貴方が心配などして差し上げる必要はありません。
と、ちょっと物騒な事考える隆也。
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