極楽蝶華 いらっしゃいませ そこでふと、隣のコーナーにあったものに目が留まった。 ……ゴムは最近一個も使ってないから悲しいことに備蓄数に不安は無いけど。 これは……使いかけ、とか悠紀仁に使用したくないし。うん。 と言うわけでいつも使ってるローションを一緒にカゴの中へ。 ベタベタしないし、乾きづらいし、お湯かけると比較的すぐ落ちるお気に入り。 そして、カウンター前に菓子の新製品のポスター発見してまた逆戻り。 『……キャラメルムース……悠紀仁好きそうだな。 ……あ、これも……』 基本は悠紀仁に甘い。 カゴの半分くらいを悠紀仁への貢ぎ物(笑)の菓子類で埋めてそれをレジの横にドン、と置く。 店員が業務的な 「いらっしゃいませこんにちは商品お預かりいたします」 と口にするのを適当に聞き流していた。 つーかもう今晩は、だから。 とか思いつつ。 ぴっ、ぴっ、とレジスターが電子音立ててるの止まった、と思ったらレジ打ってる店員が 『あー、ハーゲンダッツ新商品出るんだ……今度悠紀仁に買ってやろう。』 とそっぽ向いてた俺の顔を凝視していた。 『……ぁんだよ。』 「え……いや、あの……春日、さん?」 『それ以外に誰がいんだよ。』 自慢になるが俺ほどの外見した奴なんてそーそーいねぇだろ。 あぁ、そう言えばコイツ下向いててまともに客の顔も見てなかったな。 ……手にしてるのはローション、だから買う客の顔見てやろうと好奇心で視線上げたら俺が居たからびっくりしてんのか? 「あ、あの……いぇ。 28点で6846円のお買い上げになります……」 『…………。』 少し慌てた感じに次の言葉を飲み込んで、まだ残っていた商品を幾つかレジに通して気落ちした感じに声を掛けて来た。 それを無視して、俺は無言でレジ横に備え付けてある機械の溝にカード通す。 俺が優しいのは悠紀仁限定だ。別に何が聞きたかったのか、トカ気になんねぇし。 数秒の認識の後音が鳴って……支払い完了。 かさのあるでかい袋持ってコンビニの自動ドアをくぐった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |