版権 薬響さまリクエスト(フリリク/空薬/R18) おかしいとは思った。 空が情報収集の帰りに土産なんて。 そう、思考は働くけれど。 痺れた四肢は自由にならず、 どうにか震える腕を張って上半身を起こしてみればぼやけた視界の端に白銀の髪が映った。 「…つほ、」 薬馬が呂律の回らない声で呼び掛ければ、黒い着物がゆったりと近づいてきた。 「起きたか、薬馬。」 普段よりも甘く、ねっとりと絡み付くような声の主は無理に起き上がろうとする薬馬の腕を払い、寝かし直した。 ぐらぐらと目眩が駆け巡っていた頭は少しましになったが、それに伴って思考が澄んでいき、また何か作業に戻ろうとする空の裾を掴んで引き留める。 「なん…どうし、て…?」 視覚の虚ろな薬馬には その時の空がどんな顔をしていたかわからなかった。 しかし膝をついて薬馬の頬を撫でながら答えた空の声は、絶望するように、自責するように、 酷く震えていた。 「なんで、やろなぁ…」 自傷するように乾いた笑いを漏らして空が続ける。 「んなもん…ワシにもわかるかい。」 効果の頂点を過ぎたのか、次第に手足の感覚が戻ってきた。霧深い森にいるような視界の靄も晴れ始め、空の輪郭が月の逆光に照らされ浮き彫りになる。 光の当たらない顔がどのような表情を湛えているか薬馬に見える筈も無かったが、能面のように張り付けた笑みが頭に浮かんだ。 防御壁のようなそれを崩さないまま、空は彼の体温を感じるように薬馬の首筋に指を這わせて言った。 「薬馬お前…酷いなぁ。」 「え…?」 突然言われた言葉を理解できないまま聞き返せば空が笑顔のまま、しかし苦しそうに言葉を返す。 「ワシの言うてる意味がわからんか?」 「うつ…」 「わからんやろなぁ、隠しててんもんなぁ。」 薬馬の言葉を遮るように声を張れば、言い知れぬ脅えのような感情が薬馬の背筋を走った。 いつも空の巧な嘘や話術にそら恐ろしいほどの感心を覚える薬馬だったが、それが己に向かっているのとそうでないのでは訳が違う。 何を? 何故? 何がしたい? 何が目的? 聞きたくて口を開いても、言葉が出ない。 死にかけた金魚のように口を開閉させている薬馬をいとおしげに撫でて、空がその髪をすく。 「きっとお前には想像つけへん理由や。…真っ正直で常識的なエエ子ちゃんにはな。」 言い終わらない内に薬馬の髪をすいていた空の手は徐々にまた首筋へ戻る。 着物の襟元に引っ掻くように爪を立て、そのまま袷をなぞるように白い上衣の線を確かめる。 細長い指を滑らかに運動させれば、そういった事に疎い薬馬でも危うい艶を感じて微かに痺れの残る手で空の手を止めた。 「空!お前何して…?」 「……。」 重ねられた手を暫し見詰めて黙り込んだ空が哀しみと憤りとがない交ぜになったような、重たい表情を浮かべてゆっくり口を開いた。 「言うても…わからへんやろ。」 「口で言うて…わらかんのなら躯に教えたる。」 薬馬がその意味を噛み砕くより早く空の手がきっちりと締められた袴の紐を引きちぎるようにほどいて、乱暴に薬馬の着物の前を割る。 いきなり服を脱がされた薬馬が逃げようと膝を立てるが、まだ薬の痺れが残っていて抵抗らしい抵抗も出来ない。 「空…空、なに…、どうしたんだよオイ…」 あっという間に褌まで取り去られ、鳥肌が立った。 肌寒さからだけではないだろうそれを一瞥して空が懐からいつも火薬やら酸を入れている木製の小樽を取り出した。 中身は液体らしく、ちゃぷ、と音をさせながら空がそれを見せ付けるように薬馬に向かって軽く振った。 「これ…なんやと思う?」 普段通りにも見える悪戯笑いはどこか引き吊っていた。 薬馬が答えないでいると、空が唐突にそれを口に含んだ。てっきり自分が飲まされるものと思っていた薬馬が驚きに口を開けると、すかさず空の薄い唇がそれに重なる。 「んッ!?」 口の中に奇妙な甘さが拡がり、それについて考える前に反射的に嚥下していた。 ピリ、と舌の奥が小さく痙攣した。余程の毒物か速効性の薬品でないとこんな反応は起きないはずだなどと悠長に持ち前の医学知識を頭の中で並べ立てる内に空が薬馬の口内にぬるりと舌を滑り込ませた。 「…ふ、んぅ…ッ」 本能的に歯を閉じて肉欲の軟体の侵入を拒もうとするが、空の舌はそれでも構わないと言うように薬馬の歯列を確かめるように撫でた。 もう痺れ薬は効果を失っていたが、驚きと混乱で上手く手足に力が入らずのし掛かってくる空を押し返す事は叶わず、薬馬はただ目を見開いて空の奇行ともとれる行動に思考を奪われていた。 半ば放心の薬馬に構わず空は薬馬の唇の裏に舌を這わせ、とり憑かれたように薬馬の柔らかい唇に吸い付くような口付けを何度も落とした。 不意に空がくちゅ、と粘着質な水音を立ててどちらのともつかない唾液にまみれた口を離した。 「薬馬…」 白い思考から呼び戻された薬馬が少し乾いた目を瞬いた。 「…うつ…ほ、」 なんと返事すればいいのかわからずに名を呼び返せば、空が歓喜と苦痛が混ざったような顔を薬馬の顔に近付けた。 その表情が余りに必死に見えて、空に似合わないと思う間に今度は深く熱い舌の侵入を許していた。 「んッ…ふ、ぁう…」 舌を絡めとるように愛撫され、熱い舌で薬馬の上顎に唾液を擦り付ける。初めて他人から与えられる性的な刺激に脳天に焼き切れそうな程のゾクゾクした感覚がせり上がる。 「ふぁ、ッん…」 上手く息継ぎが出来ずに涙目になる薬馬に空が薄目を開けて満足気に口角をつり上げた。 最後に薬馬の口内に溜まった唾液を音を立てて吸い上げて、薬馬の呼吸を解放してやる。 「はっ…はぁ、うつ…馬鹿」 必死に酸素を求めて浅い息を繰り返す薬馬に空が挑発的に笑う。 「そんな大口叩けんのも今のうちやぞ?」 「はぁ?なに…」 言い終わらない内に空が露になっている薬馬の大腿を指の腹でつつ、と撫で上げた。 「んッ…!ぁ、何…?」 ただ撫でられただけの刺激ではない事に気付いた薬馬が反射的に口許を拘束されていない方の手で覆った。 それを目敏く認めた空がニヤ、と左の口角を持ち上げる。 「何、もうそんな声出そうなん?」 やらしいなぁ、と言ってもう一度乾ききらない薬馬の唇を軽く食んだ。 それにすら意図せず脚がピクリと持ち上がる程甘い刺激が走った。異常に鋭敏になった神経に目を白黒させながら薬馬が愉快そうに笑う空を見た。 「お前…さっきの薬、なんなんだよ。」 「この状況で他にあらへんやろ…媚薬や。愛の妙薬。惚れ薬。まぁさっきのんはワシが在り合わせの材料で作ったパチモンやから感情までは操れへんけどな。」 「媚薬…」 その効果を示すように空が薬馬の脇腹をするりと撫でる。 「…ッ!!や、だ…止めろ空!」 「止めろ言われて止める奴がどこにおんねん。」 そう言うと今度はその手を産毛をなぞるように少し浮かせて徐々に下へと侵食する。 「ん…んぁ、ッふ…」 薬馬のものに触れる前に既に艶を含んだ声を漏らした薬馬にお得意の悪戯笑いを向ける。 「なあ、なんでもう半分勃っとんの?」 煽るように「ん?」と聞けば空の望んだ通りに薬馬の顔が羞恥に染まる。 「嘘つけ…ッ」 顔を被って首を振る薬馬だが、媚薬の効果か既に薬馬の陰茎はふるふると震えながら鎌首をもたげている。 少し被り気味の皮から覗く桃色は艶かしく朧な月光を反射しているが、それにあえて触れずに大腿の内側を焦らすように愛撫する。 媚薬によって極端に敏感になった神経はただそれだけの接触も快感として受けとるらしく、また薬馬が甘い声を溢した。 「んぁッ…やだ、触るなっ…」 「そうやろなぁ、触って欲しいんはここと違うもんなぁ?」 挑発的に空の指が薬馬の下腹部を掠める。 「ッんぁ…やぁ、あっ…」 「触って欲しいんやろ?」 危ういところを空の長い指が巧みに撫で上げるが、どれも核心には触れないのが気がおかしくなるほどもどかしい。 断続的に声を上げる薬馬に空が意地悪に問う。 「言うてみ?」 空が何も言わず荒い息を吐く薬馬の陰茎に顔を寄せて、刺激を求める亀頭にふっと息を吹き掛けた。 「んぁあッ…!」 突然の刺激に薬馬が背を反らせて高い声を上げた。 「言えるやろ?ボクのオチンポ触ってくださいって。」 その先起こる事を予告するように周囲の陰毛を撫でながら空が再度息を吹き掛ける。 「ふ、ぁああッ!あっ、んッ…」 「ほら、言わんとずっとこのままやぞ?」 「…ッん、は…ぁん、」 「言うてみ、薬馬。」 空の与える不確かな刺激に痺れを切らせた薬馬が小さく口を開いた。 「さわ、て…」 「何を?」 顔から手を退けた薬馬は既に媚薬が廻りきっていて、とろんとした目で虚ろに空を見た。 「俺の…おち、ぽ…触って…?」 淫乱な娼婦のように口を半開きにして誘う姿に、もう少し焦らしてやろうと思っていた空は予定を変えて淫熱に火照る陰茎に手を這わせた。 「ぁああああッ!」 「ハッ…もうイきそうやん。」 曖昧な愛撫に高められていた薬馬のものは空が数回扱いただけで腹に付きそうなほど勃起した。 薬のせいか吹っ切れたのか薬馬は声を抑えようとすることもしないで空の袖を掴んで躯を震わせている。 「イきたい?」 「ぁんッ、っつ、んああッ…き、たいッ、」 手を緩めない空にひっきりなしに喘ぎながら薬馬が答えると、空が疲労していない左手に持ち変えて運動を速める。 「何て?聞こえへんなぁ、」 「あッ、ヒぁあッ、イき…んぁッいっ、きたいぃッ!」 「しゃあないなぁ、ほれはよイき。」 薬の効果で自制心すら儚くなってきた薬馬の中心を搾り取るように強くしごいてやると薬馬は声にならない声を上げて空の手と自分の腹の上に大量の白濁を散らした。 肩で息をして人工的に作られた婬熱を持て余すように呼吸する毎に小さな喘ぎを漏らす薬馬に空が普段とは違う笑みを浮かべた。 「足りひんやろ?」 左手についた精液を味見するようにペロリと舐めてから薬馬の火照った頬に擦り付けると、薬馬は抵抗するでもなくそれを虚ろな目で受け入れた。 その手を頬から顎先、鎖骨、薄く浮かんだ肋骨を数えるように撫でて、薬馬の細い腰を掴んで俯せにする。 空はまた何か聞こうと此方を向く薬馬を目で制して、腕を薬馬の躯に回して尻を高く突き上げさせた。 両手で柔らかな皮膚を鷲掴みにして双丘を割ると、人目に曝された事のない菊門が赤くヒクつく。 それに言い様のない興奮を覚えた空は薬馬の精液の付いた指を1本第2関節まで一気に差し入れた。 「んぁ、ぐっ…んんっ、」 「苦しいか?薬馬。」 さすがに快感と性的興奮を高めるだけの媚薬では痛みをどうこう出来ないらしく異物の侵入を拒む薬馬の内膜が空の指をきつく締め付けた。 指を運動させてみたものの2本目が入りそうに無いのを見た空がもうひとつ媚薬の入った小さい木樽を取り出して、それを薬馬の後孔に垂らしかけた。 「ッ…!なに、冷た…?」 「直ぐに熱なるわ。」 指を引き抜いて親指で薬を擦り付けるようにくりくりと蕾を押し揉むと、薬馬は空が言ったようにそこがジンジンと熱を持つのを感じた。 先程飲まされた媚薬のせいでぼんやりとしか働かない頭で、それをむず痒く思った薬馬が本能のまま腰をゆらりと揺らした。 それを空が喉の奥を震わせて笑う。 「自分…今の立場わかっとんの?」 躯の中からと皮膚からと明らかに上限量を越して媚薬を体内に取り込んでいる薬馬には、鼓膜に響く聞き慣れた低音すら産毛が逆立つほどの愛撫に変わり、鼻にかかった声を溢した。 「なんでオトモダチに強姦されといてそない啼けるん?普通怖なるか怒るかするもんやで?なぁ。」 「は…ぁあ、ふぁ…あぅ、」 空の言葉に言い返す余裕も無いのか、はたまた思考が奪われているのか薬馬はただ艶のある嬌声を断片的に漏らすばかり。 それに気をよくした空が、浴びせた媚薬で濡れそぼる後孔に一気に指を突き挿れた。 「んぅッ…!」 まだ少し苦しそうな薬馬に構わず更に指を足して侵略するように薬馬の熱い胎内をまさぐる。 指の全面に絡み付くようにうねる腸の内膜を押し込み爪で軽く掻くように愛撫してやると、薬馬が背中を仰け反らせた。 「んあァぁッ!?んゃッ、…っああ…あっ、あうっ…」 過剰に反応する一点を見つけると、空は指を全て引き抜いて自分の着物をはだけさせた。 既に拘束せずとも目の前で快楽に溺れ、好きにされている薬馬を見下ろして更に自身に血液が集まる感覚がズク、と走る。 薬馬が朦朧としているであろう意識の中で微かに震えながらこちらに濡れた目を向ける。 それが空の背中に身に覚えのある原始的な衝動を突き抜けさせた。 元からそのつもりではあったが無意識にヒクヒクと開閉している蕾が更にそれを助長した。 いやに飲み辛い唾液を讌下して、薬馬の白い臀部を左右に開き肉欲に猛った陰茎を後孔にあてがう。空の我慢汁に濡れた亀頭があたったのに反応して薬馬の後孔がきゅっと締まり、急かすようにまた淫らに開いた。 「挿れるで薬馬…」 空がゆっくりと薬馬の熟れた後孔に亀頭を沈める。 本来受け入れる器官でないそこは侵入を拒むように酷く締め付けたが、少し慣らしておいた影響で挿れられない程ではなかった。 「ッぁああッ…!いやだ…空、痛いぃ…!」 生理的な涙をぽろぽろ溢しながら止めてくれと懇願する薬馬はその行為こそが空の嗜虐心を更に煽っているとは気付いていないのだろう。 空が右の口角を吊り上げてわざとらしい猫撫で声を出した。 「すまんなぁ、痛いよなぁ、せやったら…一息にやってもうた方が、ええやろ!」 「〜〜ッあああぁ!!」 言った通り一気に根本まで突き挿れれば、薬馬の躯が痙攣するように震えた。 喉が潰れそうな声を上げる薬馬を非情な悦びを浮かべた空が容赦なく肉棒で掻き回す。 「ッん、ヒぁあッ…、あっ、んあッ、ああっ、」 「ほら、何をッ、アンアン啼いとんねん、淫乱!」 「やぁッ、違ァッ…!あぅっ、んぅッ!」 「何が違うんや、オトコに犯されて、イキかけとる癖にッ、」 激しい突き上げに立てた膝が畳に擦れて、薄皮が捲れた所がひりひりと痛む。その微かな痛みが薬馬の意識ばかりを現実に引き戻す。 回らない頭にまたはじめの疑問が澱んだ渦を巻く。 何故、 どうして、 空に言われたように常識に捕らわれがちな自分にはわからないのかもしれない。 薬馬には自分を犯している男が何を考えているかわからなかった。 何を求めて自分を強姦するのかわからなかった。 何故そんなに哀しそうな顔をしているのか、わからなかった。 「余裕やな、薬馬。」 薬馬が朧に頭を回している間空はそれを見ていたらしく、少し目を開いた薬馬に意味深に笑みを投げた。 「ここ、こないギンギンにしてどないするん?」 空が薬馬の破裂寸前の陰茎を指先で弾く。 薬馬が刺激に逆らうより早く手と自身で一気に薬馬の快感を高める。 「ぅッ…、あっ、んぅッ…!んあァぁっ!」 「イキたいんやったら、余所事考えとる暇、ないやろ。」 「ああァッ…!!や、空ぉっ!も、ぁッ、」 「…イけ!」 「んああァぁああッ…!!」 最後に力を使い果たすように空が腰を振りたくり欲を注げば、薬馬が薬の残った躯をしならせて一際艶のある悲鳴を上げて空の手と床を白濁で染めた。 肩で息をしながら、薬馬が糸が切れた操り人形のように力無く崩れた。 仮面を崩さずに批難に怯える空に 乱暴な行為の後の倦怠に飲み込まれかけた薬馬が 声を出さずに 濡れた目を向ける。 その仕草さえ悔しいほど愛しくて 空は振り乱された薬馬の黒髪を撫でた。 「…うつほ、」 どちらのともつかない汗にまみれた薬馬が顔を逸らせた空に口を開いた。 「空…」 その先を聞くのはまだ怖くて 空は薬馬の口許を白濁を拭き取った手で塞いだ。 塞がれた小さな口は たしかに5文字の言葉を紡いだ。 ―――――――――――――――――――――― 薬響さまリクエスト 空の作った媚薬で犯される薬馬 でした。 遅くなってすみません〜!! そして何故かヤンデレぽくなってしまった…(^^; リクエストありがとうございました。 ご本人さまに限り書き直し要請、お持ち帰りOKです。 ←backnext→ [戻る] |