創作 Catch me. side柊 最近ゲンがわからない。アイツとは小学校の時から一緒だからもう10年の付き合いになる。 なんでも言えたし、なんでも話してくれたと思う。…中学までは。 背も普通、顔も普通、成績は並以下のオレと違ってゲンはでかくて、男前で、サッカーも上手くて女子にいつもキャーキャーいわれてた。 羨ましくもあったけど、それ以上に自分と違う世界に行ってしまったような…薄い膜が張ったような寂しさがあった。 派手な新しい友達に囲まれる人気者のゲン。 オレは…ぼちぼちの友達とぼちぼち上手くやってた。 次第に話し掛け辛くなった。 部活が違うこともあって、1ヶ月くらい話さない日が続いたころ、ゲンからメールがあった。 《もう無理だよ柊。明日からずっと柊の近くにいる。おかしくなりそうだ。どうしたらいいのかわからない。》 まぁこんな感じの内容。本当は怖いくらいの長文で、すごく切々とした…でも何もはっきり書いてない、悩みながらつけた日記みたいな文章で。 とにかくアイツらしくなかった。 次の日からゲンはオレにこびりつくようになった。登校から何から、授業と部活以外は四六時中オレの隣にいた。 別に苦じゃなかったけど、アイツはどこか鬼気迫る様子で、話し掛けてきた奴らを睨んだり、ヒステリックに近寄るなと言ったりした。 何かあったのかとゲンのお母さんに問いただしたけれど、おばさんも同じように感じてるとのことだった。 2人で同じ高校に入り、2ヶ月未満でオレの転校が決まった。親の都合。 ゲンに言ったら1人で行くなんて許さないときかなくて結局ついてきた。 何か1人になると不安なことでもあんのか? 少しくらい相談しろよ…クソッ。 [back][next] [戻る] |