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創作
せめて隣…いや隣もやばい。
「柊、机取りに行こう。」

「んーなんか1番うしろの机1コ空いてるみてーだからオレアレ使うわ。」

早い者勝ちだもんね!

「チッ…なんで用意しとかねーんだあのクソメガネ。」

「お前早速担任大嫌いだな!!」

宮…なんとか先生を早速クソメガネ呼ばわりしてやがるコイツ…。





side勇大

今日は珍しく朝から学校に行ってみた。土足のまま廊下を歩いていくと教室がやけに静かだ。内山のヤツがまたなんかやってんのか?

内山じゃなかった。教室に着いたらオレの席になんかいた。

クラスどころか学校単位で怖がられてるオレの席占領するヤツなんざいるわけねぇと思ったが、見覚えのないちっこいのが座ってやがる。

死にてえのかチビ助。クラス全員フリーズしてるじゃねーか。内山もオレの隣なら分かるだろ。止めろよ。和やかに話してんじゃねーよ。

まぁ度胸ある奴は嫌いじゃねえ。

「おい。チビ助。」

声をかけた瞬間チビ助がさらに縮み上がった。

思い切り見開かれた目がオレのカスカスにブリーチした金パから顔、ピアスだらけの耳、ほぼ私服状態の制服(一応スラックスとジャケットは指定だ)ときて最後に土足を二度見した。

…あんな便ゲタみてーなスリッパ履いてられるか。

チビ助はオレがド不良だということを理解したらしく、口をパクパクさせながら言った。

「…ぁぁあのっわたくしめが何かしましたでしょうか…?」

やっぱ言ってねーのか内山の野郎。軽く睨んでみたがいつものようにヘラッと笑って流された。つーかこのチビ誰なんだ。

「ほら〜宮本せんせーが言ってたじゃんか〜。転校生くんの1人だよ〜。」

エスパーかテメエは。

「あっ…えと…はい!転校生と申しますっ!!」

「ふっ…」

テンパり過ぎ。不覚にも笑っちまったじゃねーか。それに可愛い。男に可愛いっつーのも変な話だかそう思ったもんは仕方ねえ。

「…お前可愛いな。」

「目ん玉大丈夫かテメエ!?オレが可愛いわきゃねーだろが!眼科に強制送還されてーのかクソボケがァァ!!」

…誰だお前。ちょっさっきまで…あ?わけわかんねー。

「しゅ〜ツッコミ激し〜!初対面の不良にクソボケってすご〜!!」

大爆笑だな内山。半分以上きょとんとしたオレ見て笑ってやがるだろコイツ。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!すいませんでしたァァ!!」

こんどは一転ガバッと頭を下げてビビり出す。わけわかんねー。コロコロ表情変わるな。忙しい奴。

「別にいいけどよ。ここオレの席。」

「ココオレノセ…え?」

「お前が座ってんのはオレの席だっつってんだろ。」

「ギャァァァァァ!!すいまっせんでしたァァ!自分ゴミ虫の分際でとんだご無礼をいたしましてございまして不徳のいたすところでマジすいませんでしたぁぁ!!」

よく喋る奴だな。普段はどんななんだ?好きなものとかは?ゲームとか好きか?オレみたいな不良嫌いだろうか。何から聞こう。こんなに興味がわくなんて初めてだな。

「オイ…お前」

ボロい机抱えた180近い奴が血相変えてこっちに来た。ボロ机投げ捨てんなよ壊れるだろ。
「柊!!」

また知らねえやつか?それより…

「あ〜転校生くんの片割れ〜」

「お前シュウっつーのか。」

名前。どういう字書くんだ?シュウ。シュウ。周?修?秀?

「あのっ…いやっシュウキです…すいません」

シュウキ?

「…し…臭気?」

まさかの臭?

「んだその臭そうな名前!!」

やっぱちげえか。なんか安心した。

「ヒイラギの柊に樹木の樹で柊樹だハゲ!!」

なんだその豹変ぶり。このナリしてるオレのこと怖くねーのかよ?

「ハハッお前さっきまで滅茶苦茶ビビってたのに一気に強気だなおもしれー」

お前不良じゃねーのにフツーに接してくれんのか?いいのか?族入ってるような奴だぞ?楽しく騒いでていいのか?オレお前と一緒にいていいか?

まぁいいか。自己紹介なんて長らくやってねーけど。

とにかくオレを怖がらないでくれ。

「いや怒ってねぇ。…田村勇大(タムラ ユウダイ)だ。よろしく。仲良くしてくれよ。」

だめか?でも本心だ。仲良くしてくれなんて人生で初めて言った。思ったことはすぐパンパン言っちまうたちだから気ぃつけねぇと変なこと言いそうだ。

…つか今のもすでに変か?ドヤンキーが平凡な奴に仲良くしてくれってカツアゲ予告に思われるか?…何にやついてんだ内山。

「おーあんだよお前いーやつじゃねーか!河井柊樹だ。こちらこそよろしくな!!」

よかった!!うっわスゲー嬉しい。敬語も使ってねーし。

河井柊樹か。かわいいかわい柊樹だな。

「かわいい柊樹だな。よし覚えた。」

「河井だっつってんだろーがテメー!!おちょくってんのか!!」

あー久しぶりに不良以外と喋った。なんかコイツと話すとほっとする。対等に喋ってくるやつなんて3年以上居なかったからな。中学からグレて、怖がる奴と、媚びる奴と、ケンカ売ってくる奴。あと女。そんだけだった。


コイツはどれでもねぇらしい。反抗的だけど親しみがこもってるっつーか。うるせー弟みてえな。うん。なんかずっと一緒にいたような気がする。

「本当に可愛いから言っただけだ。嘘はついてねぇ。」

可愛いと思ったから言ってんだ。何が悪い。

さっきから柊樹の横にいる転校生2号が口モグモグ動かしてんだけどなんだアイツ。やべー奴じゃねーのか?

(…ろ)

なんか言った。クソ睨まれてんだけどオレにケンカ売ってんのかスゲーな。自分で言うのもアレだけど。

柊樹と話しながらガン垂れ返してやった。

「…めろ」

メロ…ン?いやいやいや。まーいーか。今はわけわかんねーノミよりも柊樹をみていたい。思ったこと言っただけなのに赤くなってる。さらに可愛いな。

「なっ…んだけ言われりゃー照れもすんだろっ…!!」

…やばい。オレそっちのけはないはず…コイツといると自信無くなってくるな。でもな…自分に嘘ついても面倒になるだけ…

「やめろっつってんだろっ!!」

やばい方の転校生が叫んだ。クラス全体静まりかえる中、1人教室から出て行った。

何をやめんのかわかんねーけど柊樹が心配そうな表情で見送るのをみて腸がズンと重くなった。






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