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王子のソレッラ  
第一話  あの日






ザシュ

刃物が刺さり、血しぶきが上がる

ある国の、ある城で
まるで競うかのようにナイフを放ち、人々の息の根を止めていく子らがいた。

彼らはこの国の この城に住む 国王の子
双子の王子だ

金色の前髪はその目も覆うほどにのばされ 
その頭にはキラリと輝くティアラが乗せられている。

神の名を持つ 兄のラジエル
通称ジル
悪魔の名を持つ 弟のベルフェゴール
通称ベル


彼らはだれの目から見てもその中の悪さが分かる
それほどお互いを嫌っていた

そして今日もナイフを放ち、城に住む者を刺殺していた

辺りは血色に染まっている
先ほどで最後の、彼ら以外の人間が死んだ

いや、正確には生き残った後 世話係がいた方が何かと楽なので
今まで世話係だったオルゲルトは生かしているのだが…


実の父も母も殺したのだ
完全に死んだのだ。

後はお互いだけ
互いを攻撃し合い、その時間は永遠とも一瞬にも思えた


でも終わりは来るもの
いい加減疲れて、お互いリビングに倒れこむ

「ハァ ハァ
 おいベル。もうここらでやめようぜ。」

「っち。
 勘違いすんな! これは引き分けになるからな」

「っふん どうせおれの勝ちだし  ししし」

「ちげーよ。
 …これからどうする?」


ベルの問いに二人はひとたびだんまりする
その沈黙を、部屋の片隅で見守っているオルゲルトは壊さない


「ああー おれミルフィオーレに入るわ…
 あそこ急激に伸びてるらしいし。人殺せるかも」

「んじゃ 俺はボンゴレの暗殺部隊行くわ」

「ああー ヴァリアーだっけ?」


「そっ」と声を出し勢いをつけ起き上がる
そのまま先ほどまで人であった肉の塊を見向きもせず窓へと


「次会う時は正式なる敵かもよ」

「しし、いつでも受けて立ってやるぜ弟ちゃん」

「ちゃん付けすんな」


別れ際にもう一度ナイフを投げつけて一言


「あばよジル。
 オルゲルトはくれてやる」

「おお、せいぜい生きれや
 俺の弟の分際で間抜けな姿さらすなよ」

「ベル様 行ってらっしゃいませ」

「ん」


ひょいっと窓から飛び降り城を出る
何一つ持たず
何も考えず

ただ求めるは人の血、断末魔
それだけだ



・・・・


「ん ん?」

目をさませばそこはベルの部屋だった
まだ城に居たころの夢
随分なつかしいものだと思うのは歳を食ったからか

兄、ジルとは意外な再会を果たした
ジルたちのボスであるユニは
我らのドン・ボンゴレ綱吉のリボーンと面識があるらしく
そのつながりで同盟が結ばれ、双子は再会を果たした

昔の様にナイフは出ないものの、顔を合わせれば喧嘩の日々

周りも慣れたか止められはしない


それにしてもなぜ今頃こんな夢を見たのだろう
王子的には嫌な予感がびんびんする


そんな思いを知ってか知らずか
ベルの内線に知らせが入る

《今すぐに広間へ来お゛い》

どうやら朝の食事の知らせではなさそうだ
めんどくせえ
心でつぶやきながら 寝間着を脱ぎ始めた。

 

 


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