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小ネタ置場
新婚生活みたいな話
月虎



トントンと規則正しい包丁の音がする。
虎徹はその音と、美味しそうな匂いに誘われてフラフラとリビングへ顔を出した男は、美しい銀髪の男の姿を捉えて頬を緩めた。
相手に気付かれないようそっとソファに鞄を置いて、忍び足で男に近づく。
そのまま男の、意外と筋肉質な身体に体重を掛けて、腰に腕を回した。

「!」
「ユーリ、何作ってんだよ?」

小首を傾げて覗き込むと、ユーリと呼ばれた男は驚いて目を丸くさせ、相手の顔の近さに頬を赤らめさせた。
堅物のユーリのそんな姿が珍しかったのか、男はにこにこと面白そうな意地悪そうな、そんな笑みを向けている。

「こ、虎徹さん、帰って来たのならただいまくらい言って下さい」
「いいだろ?別に」
「…別にって…あなたは」

呆れたように溜息を吐き出すユーリに、虎徹はゆっくりと離れると料理に目を落とした。
食欲をソソられる美味しい匂い。
虎徹はユーリの作る料理が大好きだ。

「今日のも旨そうだな」
「美味しいものしか作りませんよ、私は」

だってあなたに食べてもらうんですから。とは口には出来ず、目の前の料理を混ぜるために視線をそちらに向けた。
そんなユーリの気持ちに虎徹は気付くことなく、ぐううと間抜けな音をお腹から鳴らしている。

「はは、見てたら腹減ってきた」
「もう出来ますから、服着替えて下さい。後、洗濯物はきちんと洗濯かごにに入れて下さいよ」
「ユーリ…お前は俺のオカンか」

虎徹は肩を竦めてはいはいと頷くと、ネクタイを引き抜きながら部屋を出る。

「虎徹さん」

それをユーリが引き留めて、虎徹は振り返った。

「おかえりなさい」

不意に触れるか触れないか。そんな曖昧なバードキスをユーリに送られて、虎徹は目をぱちぱちと瞬かせた。
ユーリは虎徹の驚いた姿に小さく笑って、虎徹はやられたと頬を朱色に染め上げた。

「…っただいま!」





ツイッターで甘い月虎で盛り上がったので書いてみた。
日記のネタくらいにはなるだろう…ね?





あきゅろす。
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