眼鏡男と団子女。
狐目くん
「お前、ホントに何か変だぞ。
ツッコミしかお前の存在意義ねぇだろ?熱く語った後のボケがしらける悲しみを知れ!!」
「え、あ、うん?」
何で疑問形だよ!と、何故か私がツッコミを入れられた。言ってることが逆じゃないの。
何だかよく分からないパン馬鹿は放っておいて、あたしはお弁当を食べることにする。赤くて丸い、このお弁当箱は中学校入学と同時に買ってもらった。小学生の頃から趣味があまり変わっていないので、今でも気に入っている。
蓋を開け、見る。色とりどりの世界からして、お母さん、今日ははりきったみたいだ。小さい携帯ぐらいの大きさのハンバーグは、口の中でふわりと肉汁が広がった。
「美味しそうに食べるねぇ。」
狐のような瞳をした男の子が声をかけてきた。あれ、誰だっけ。お揃いの赤い箸を口に運んだまま、そちらを見る。男の子は結構背が高いはずなのに、何だか頼りない。表情が一瞬で情けなくなったからなんだけど。
「あははー。やっぱり分かんないか。ぼく、井下幸児(いのした・ゆきじ)。探偵だよ。」
「・・・へぇ。」
何だこの子。ツッコむべきなの?いや、でも関わりたくない。あたしは、ゆっくりと目線を外す。そして、斜め後ろの青葉に助けを求めることにした。どこかのティーンエイジャー向け雑誌を片手にコーヒー牛乳をすすっているけど、気付いてくれるはず。
「そういえば青葉、昨日のLステ観たー?haiko出てたよね!」
自然に。そう、あくまで自然に。案の定、haikoファンの青葉は食い付いてくれて、やっぱり可愛いでしょ?とhaikoについて語ってくれる。
haikoについて一通り語り終えたらしい。次は手にしていた雑誌を広げ、haikoの特集が組まれている二、三ページめくったところを指差す。少し赤みがかった、あたしと同じような髪色。八重歯のかわいい年下っぽい男の子。…どっかで見たことあるなぁ。
「ちょっと!!ぼくのこと忘れてない?」
狐目くん。まだ居たんだ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!