へたれと言うより間抜け。
隣から「腹減ったぁ」なんて気の抜けた声がする。その声に平和っぼいと思った。
電車の中、時刻はすっかり夕暮れで、いつもならご飯食べてる時間だからあっしもお腹減ってる。
「家帰ったら先ず夕食だね」
「お前飯作れんのかぁ?」
「ひ、ひどい」
ご飯作れなかったら一人暮らしなんて出来ないでしょう。
そう言うと驚いた顔された。何ですか。
「いや…やっぱ一人暮らしなんだなぁ」
「え、うん。じゃなかったら一緒に住もうなんて事言わないよ」
「まぁな」
話してると『○○駅』と音が流れ、スクアーロに下りる事を告げた。
駅から出ると再びスクアーロは注目されてて、居心地悪そうに眉を潜めてるのが可愛い。
「何で皆俺の事見んだぁ?」
「ふ、服装かな…」
あえて顔とは言わなかった。
「…着替えてぇ」
「ここで脱がないでね。余計注目浴びる上に恥ずかしい罪を背負うよ」
着替えたところでその髪と長身と端整な顔じゃあ、無意味だけど。羨ましいぜ、こんちきしょー。こんな三十路いないよ。肌綺麗だし骨格細いし。
二次元素晴らしいなこのやろー!
「ゔぉい、ここじゃねぇのか?」
「はっ!叫んでたら瞬間移動していた」
「……」
「痛たた!なんでほっぺ引っ張るのぉぉ?!」
「いや…夢でも見てんじゃねぇかと」
「もう正気です、このカス!」
「んだとぉ?!」
「煩い。近所迷惑だ」
「あ゙?」
「我が家は狭くて防音設備調ってないんだよ。隣や下から絶対苦情来るし」
不服そうな顔するスクアーロを引っ張ってエレベーターに乗せる。七階に着くまで黙ってるかと思ったが、
「日本ってのは、」
「む?」
「安全な国じゃねぇのかぁ?」
安全、ねぇ…。確かに銃とか刀とか持っちゃいけないし外国よりは安全かも知れないけど、日々犯罪行為をする人間は幾人も居る訳で。
「そうじゃなくてよぉ」
「?」
「……あの、」
あ、七階着いた。
自動に開いた扉を擦り抜けてスクアーロを向くと居ない。あれ、何故?
エレベーターに近寄ると中からくぐもってるけどしっかりと、「ゔお゙ぉぉい!」って聞こえる。ボタンを押すと心なしかやつれたようなスクアーロが出て来た。
「若干びびったぞぉ…」
「こういう時君の大声って役に立つね」
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