XANXUSの消失。
ちなちが学校に行った後俺は京野んとこに行くかと着替え、歯磨いてる間にXANXUSは起きた。
寝起きの悪さは三次元でも健在でどこを見るでもなくただぼーっとベットに腰掛けている。今話し掛けたら殺されるぜ、絶対。
「…カス」
「な、何だぁ?」
「……、ちなちは」
「あ、ああ…あいつなら学校行ったぞぉ」
「‥そうか」
珍しく寝起き直後でも話すXANXUSは不思議と大人しく思えた。雰囲気からだろうか。殺気をあんまり感じねぇ。そういやこっちに来てからこいつはかなり丸くなったよなあ。今でも力技噛まされはするが元の世界よりは物投げねぇし。犠牲者俺だけだし。あれ、それでいいのか俺。何か独りぼっちの気分。
「行かねぇのか」
「え、あ?」
「京野んとこ」
「あ……ああ、行く行く」
「……」
何だぁ、その「キャラぶっ壊れてんぞ気色悪」みたいな目は。こっち見んな。
ジャケットを手に掛けると台所が視界の隅に映った。
「あ、洗いもんしてねぇ」
面倒臭ぇ。あの阿呆な間抜け面したちなちを思い出しながら袖捲ってスポンジに洗剤ぶっかけた後、水に濡らした皿を擦る。そろそろ水が冷たいと思う時季になるなぁ。
「……平和だな」
後方で呟いたXANXUSにお前こそ平和ボケし過ぎだって言いてぇ。ボスに平和なんて単語似合わねぇどころか知ってると思ってなかったぜ。にしても髪が欝陶しい。
「カス」
「あぁ?」
「ベルトどこだ」
「はぁ?」
水を一旦止めて後ろを向くと床に隊服を散らばらせ、クローゼットの中を凝視してる阿呆が立っていた。
何で着替えんだ。
「ベルトならちなちが収納箱に入れてたぞぉ。家宝だなんだと言いながら」
「馬鹿かあのカスは」
愚弄しながら開けた箱からベルトを出し腰に嵌める奴に苦笑、箸を洗い出す。馬鹿っつーか阿呆だろ正確に言えば。俺の事全く意識してねぇし。普通男と居たらも少し恥じらうとか。こないだなんか風呂入ろうとか言って来やがったんだぞ。てめーほんとに十四かよ。
洗った皿を拭って棚に戻せば洗い物終了、京野んとこ行くかぁ。
「…XANXUS?」
俺は振り返った後部屋を見渡した。
見慣れた服装で威張ってる馬鹿が視界に映らなかったからだ。
「……」
どこにも居ねぇ。あのでかい図体が隠れる場所なんか開いてるクローゼット内程度だろう。試しに見てもいなかった。
つまりXANXUSが消えている。ホワイ。
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