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漫喫と秋葉は王道ですから。






「漫画喫茶へ行きたいと思います」

 手を腰に当て声高々に言ったというのにこやつ等、

「カス。ゲームの進行は」
「何かあれだぁ、中級ボスっぽいとこ。今から狩りに行く」
「おい! 俺が行くまで待ちやがれよてめぇ! 先に倒したら泣くぞ!」
「ゔお゙ぉい! 何か進んじまったぜぇ!!」
「おぉぉぉぉいぃぃぃ!」

 キャラ崩壊というメインディッシュを繰り広げてくれましたよ本当に殴ってやろうか。無視するなよ馬鹿共。

「ゔお゙ぉぉぉおいっっ!!! なにしやがるんだぁ!?」
「はんっ! 俺が行くまでカスは死んでろ!!」

 楽しそうだなおい。三十路がPSPゲームに真剣で取り組むなんざ痛いぞ馬鹿だぞ。

「くそぉ…」
「カスアーロのばぁーかっ」
「はぁ?! つかちょ、おまっ」

 堪えらんなくてスクアーロの首に巻き付き画面を覗いた。シャンプーの香料が銀糸に付いて香る。スクアーロのにおいだ。

「漫画喫茶行こーよー」
「い、行ってやっから動くなぁ…」
「どして?」
「…っ、」
「胸だろ。お前最近でかくなったからな」
「うわー、えろカス鮫ー」
「ゔお゙ぉ…い、締めんな」
「ねぇ行こう、ボス」
「カス、そろそろ来い」

 無視された。スルーというアッパーかまされてしまいましたボスに。悲しいですかなり。

「スクー!」
「耳元で叫ぶな。解ったからほら、」

 首に絡み付く手を引くとスクアーロは胡座をかきその膝をぽんぽんと叩いた。つまりそこに座れという事で、

「大好きパパン!」
「こんな娘要らねぇな」
「つーか猫でいいだろぉ」
「人間外ですか」

 スクアーロの胸に頭を押し付けて胴を抱きしめた。いいにおい。あっしスクアーロのにおいが好きだ。ボスもいいにおいだけど何か、スクアーロの方が落ち着くよ。

「ところで何で漫画喫茶に行くとか言い出したんだぁ?」
「行ってみたかったからかなー」
「適当だなぁこれまた」
「こいつ終わったら行くか」
「もう終わったぞぉ」
「あ…っ! てめぇ俺の手柄盗りやがって!!」
「行こうぜちなち」
「待ちやがれマジでド畜生がぁあああ!!」












 漫画喫茶にて、馬鹿でかい人と共に選んだ部屋を探す。

「これか」
「ん」
「じゃあちょくちょくちなち君がボスのところへ行くから」

 スクアーロとあっしは広めの部屋に入り、ボスはその向かいに入った。靴脱いでくれて良かったよ。

「でも狭くないのかなあっち」
「見てくりゃいいだろぉ」

 イヤホンを装着しPCを弄るスクアーロは格好いい。いやじゃなくて、格好いいけどそうじゃないんだ。

「狭いのが嫌とか可愛いよねボス」
「お前蹴られんぞぉ」
「あはは、じゃああっしは漫画持って来るよ。飲み物いるかい? コーヒー?」
「おう」
「解った」

 スクアーロに了承してから向かいのボスが居る個室へ。

「ボスー」
「何だ」
「意外と広いね。飲み物取りに行くんだ、お酒以外でなにかない?」
「酒」
「お酒以外」
「酒」
「おさ、」
「け」
「……」

 いつも思うんだけどボスってアル中にならないのかな。寧ろすでになってるんだろうか。だとしたらあの暴力はアルコールが少なくなったが為なのかね。
 コーヒーとアイスをコップに入れながら考えて、コーヒーを音楽聴いてるスクアーロに、アイスをモンハンやってるボスに渡した。

「……」

 黙々と食べてるよボス。どうしよう可愛い。つーか、

「腹筋死亡」
「お前の場合腹筋脂ぼ、ゔお゙ぉいなにしやがんだ!」

 湯気を立てるコーヒーの中にオレンジを吐き出してやるといたたたた! 何だよそんなに強くほっぺひっぱんなよ痛い痛い。

「お客様、周りの方々に迷惑がかかる為出来ればお静かにお願いします」
「……すみません」
「ざまみろ」
「あ゛? このオレンジブレンドコーヒー口移しで飲ましてやろうかぁ」
「それスクアーロも罰ゲームじゃね」

 渋面したスクアーロはコーヒーを替えに行き、さてあっしは黒執事でも読もうか! セバスが骸に似てるんだよね。センター分けと目付き顔付きと髪色も白黒ならベタで同じだし、妖しい感じで敬語だしなあ。そうだ、

「今度秋葉原行こうね」
「は?」


 間抜け面した君も悪くない。










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