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甘い甘いゔお゙ぉい。2。






 手を合わせて目ぇつむって、さてなにから愚痴らせて貰おうかと態とらしく俺は呟いた。しねぇけど。だから頭はたくんじゃねぇ馬鹿が。
 確かにこの隣に並ぶガキは素晴らしい変態っぷりと人をおちょくってくれるので誰かに愚痴りてぇけど別にそこまで嫌じゃねぇし。いや本気で疲労を感じる事はある。好い加減にしろと殴る事もあった。の割には結構楽しいんだぁ、こいつの傍は。
 飴玉一個程度でキスするわえろい事平気でやるわ男に平然と抱き着くわボスといちゃつくしあの六沢とか言う奴とも何か仲良さげだし寝相悪ぃわ脳の回転遅いわ人の髪触りやがるしフカヒレスープ食ってたし、兄貴とか京野とか六沢には何故か恋人として通してて何で弁解しねぇんだこいつは。親御さんはこいつになにを教えたんだぁ。

「ねぇ」

 後男の前で着替え始めるしよ、羞恥っつーもんがねぇ。料理は大いに出来るが頭と人間性に欠落がかなりあるんだ。一回甦って突飛な性格を直してやってくれマジで。

「うおぉい!」
「ゔお゙い!! 何だぁ?!」
「お墓参りは終わりだよ。スクアーロの行きたいところへ行こう」

 供え物を手に立ち上がるちなち。未練などないような足取りで去ってくもんで、霊でも見たのか?

「あの時は」
「は?」
「この間お兄ちゃんが来ただろ? 寂しい云々言ってごまかしたじゃない」

 そういやあったな。男と同居すんなだなんだで、兄貴に迷惑かけれないのはあの時言ったからとか何とか。

「お母さん達が死んだ時、お兄ちゃんに言ったんだ。あの家からは出たくないって。祖父母のところに預けて貰う事も出来るんだけどさ、あっしの家はあそこだけだからね」
「お前も面倒な人生で過ごしてんなぁ」
「でもスクアーロやボスと逢えたからいいや」
「馬鹿野郎ぉ」

 ニヒルに笑ったちなちの頭を叩く。

「あっしが一人暮らしで良かったよね」
「はん…」

 駅へ向かう途中、大人しい雰囲気を出しながら半歩程前を歩くちなちは何度か俺を振り返り、そう確認するなら隣に来りゃいいだろと横に並びながら頭を撫でた。
 猫みてぇに目を細めて俺の手を握るちなち。

「ガキみてぇ」

 手に伝わる温度にどこか心地良さと安心感を覚えながら少し手に力を加える。

「えー、あっしスクアーロの子供に見えるの?」
「いや、」

 何でそんな眉下げて悲しそうな顔すんだこの馬鹿。

「恋人に見、えんぞぉ」

 多分、と続けてそれ以降無言、お前何か喋れよ恥ずかしいじゃねぇか手が汗ばんで熱いんだけどよ、これは俺のせいかお前のせいか全く解んねぇ。
 駅のホームに入り取り敢えず都心へ向かう電車を待ってると、

「どこ行くの?」
「決めてはねぇなぁ。ま、お前…」

 が、と続けようか迷った。

「?」
「……何でもねぇよ。どっかふらっとしようぜぇ」
「うん!」









 笑顔で抱き着いてくるお前が居ればそれだけでいい。










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