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ツンテレだからね。3。









 ヴァリアーナンバー2の演技力に期待して正座してるお兄ちゃんと話を始める。まず同居してるってボスが言ったんだからそこをどうにかしよう。交際云々は後で。


「えとさ、この人はスクアーロって名前で、一緒に住んでるんだけどね、」

「何で一緒に住むんだよ」

「……一人が寂しいから?」


 疑問形にし首を傾げたら肘で打たれた顎の付け根を。いったいな、何だよ妥当だろこの嘘。


「寂しいなら俺に言えば良かったのに」

「彼女さんに迷惑かけられないでしょう? それにあの時言ったよね」

「そうだけど、でも男連れ込むなんて…」


 顔を俯かせるお兄ちゃんから目を離し軽く放られてるスクアーロを見遣った。多分内容を理解してないんだろう、あっしに横目を向けている。まあ後で話すから今は合わせてくれよ。


「トモダチなんて誘えないでしょう? 解ったかい」

「…ぅぅ……二人はどこで知り合ったんだよ」


 知人に恋人がいる事を初めて知った人が口にする常套句だけど訊きたくなるよね確かに。どうするスクアーロ。


「…本屋」

「ほんや? 書店とかのですか?」

「あぁ…猫の写真集見てたこいつが邪魔で、退けと言ったら着いて来た」


 ちょっと無理があるー。爽やかに突っ込むくらい有りそうな事だから全否定出来ないー。つーか何だよ漫画的出逢いじゃんいや違うかてかあっし変人じゃんか。着いて来たとか何故に、ホワイ。


「何で着いてったの?」

「え゙。か…カッコイイから。後迷惑かけた、おわび?」

「ちなちそんなキャラだったっけ」

「黙れクソ兄貴」

「一目惚れなんだよなぁ?」


 スクアーロがそんな事訊くのは話し合わせる為だろう。でもこれには素直に頷けるよ。だって本当に格好いいって思ったから。


「そんな真顔で肯定しないでよ…お兄ちゃんショック」

「だからきめぇ」

「ともかく、解ったかいお兄ちゃん。あっしはスクアーロを好きなんだ」

「ゔお゙…い」

「ちなち…」


 演技だと解ってても告白紛いな台詞に照れるスクアーロと涙目なシスコン。スクアーロが涙目だと萌えるのにこの人には萌えない。萌えないとか言うより気持ち悪い。


「…解ったよ」


 お兄ちゃんはスクアーロに向き直った。


「ちなちを泣かせないで下さい。寂しがらせたら殺しますから」


 素敵発言だけど殺しにかかれば君が殺されるよお兄ちゃん。


「ったりめーだぁ。一人にさせるつもりも泣かせもしねぇ」


 ちょ、スクアーロの真顔に甘い鼓動をしてしまったんですけど。つか付き合ってないんだから君の事で泣きはしないからね。

 何とか理解してくれたお兄ちゃんに即帰ってくれと言うのも酷というか必要がないので、ご飯食べてくかと誘った。


「ちなちの飯久し振りだなー。上手くなりました?」

「食えなくはねぇな」

「でも結構美味いですよね!」

「そう…なに見てんださっさと作りやがれぇ!」

「はーい」


 台所に材料を置いて切り始めるあっしはこれで隠す事なくなって楽だと少しだけ気軽であり、


「ちなちに手だけは出さないで下さいね」

「逆に出されてるんだが。てめぇどういう教育したんだぁ」

「男女差別なく育ちましたよねあいつ」

「全くだ。ちったぁ男目線で考えて欲しいぜぇ」

「何でちなちはあんなに可愛いんだろ」

「だよなぁ。遺伝子がいいのか脳細胞が俺のツボを突くのか解りゃしねぇ」


 少し解りにくいけど普段言わない台詞をさらりと述べるスクアーロに包丁を投げてやりたくなった。













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