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照れ隠しの開き直り。2。









「スクアーロと二人っきりとか久々だ」


 俺に抱えられ剣を大事そうに抱いてるちなちが閉じていた口を開く。建物の影に隠れつつこっちでも変わらねぇヴァリアークオリティは結構重宝するが、リアルに考えて俺達の脚力はどうなってんだ。忍者か。


「そうだなぁ」

「スクアーロの剣綺麗」


 褒めてんのは嬉しいがあんま刃先触ると指切るぞぉ、と注意してる途中で切りやがやって馬鹿が。


「鋭いよね。剣一筋とか格好いいな」

「それよかその血を拭え」

「おやもう着いたっぽい」

「人の話聴けぇ! もう少し峠の方が人気ねぇだろ、まだじっとしてろ」

「むん」


 何だむんて、了承か。あほらしく見えるから止めとけその口癖。

 以前来た場より上に上ると等間隔に木々が生えて居て人が来るような場所ではないのだろう。ここらで剣振れんのかと思案したが靴を脱ぎ前みてぇに川ん中入るちなち。そこで振ればいいか。


「冷たいー気持ちいー。これ冬に来たらきついねー」


 脳天気な顔を綻ばせて俺に手招きするちなちを横目にしながら剣を装着し裾を捲くって素足を水に浸らせる。少し冷てぇがまあ今日の夏みてぇな陽射し下なら調度いい。


「また滑らないでね」

「平気だぁ」


 ちなちから幾らか離れ一振り、空気を切る音が懐かしく何だか気持ちいい。

 懐古の心地良さに没頭し一心に振るってれば時間の感覚なんて忘れていた。だから石が投げられるまで気付かず、


「おー。流石ヴァリアー」

「どうしたぁ、石なんか投げて」

「そろそろ十二時」

「…退屈だったろ」

「いーや。見てて楽しかったさ。格好良かったしゲームしてたから」

「何のゲームだぁ?」


 川原の脇に座り足だけ水に浸からせるちなちは確かに携帯ゲーム機を持っていて、ゲームやってんなら俺が格好いいとか解らねぇだろと突っ込みつつ覗いた。


「ポケ○ンか。幼稚なもん好きだなお前」

「無垢だと言って欲しいな」


 言っとくが無垢な奴がどこぞの不良みてぇに股開いて座るとは思えねぇぜ。女云々言いやしねぇが、品のない奴だなほんと。


「ポケ○ンの世界では魚はポケ○ンなのかな」

「は?」

「ほら、ポケ○ンの世界でも肉とか魚介類とか食べるだろう? あれってポケ○ン外生物の肉なのかポケ○ンなのか、どっちなのかなと」

「……あぁ、」

「後ミ○タンクって雌しかいないんだけどどうやって増えてるんだろうとか。いや確かにポケ○ンは色んな種類のポケモ○とセッ○○して卵産むけど」

「放送禁止用語出たぞおい。恥ずかしい奴だなこっちが恥ずいぞぉ」

「ポケ○ン界に犬猫豚狸狐鮫エトセトラっているのかな。ポケ○ンが犬猫狐猿牛鮫なのか」

「架空のもんにリアリティ求めたら負けだちなち」

「そうだけどさ。それより飴食べるかい?」

「すげー悩んでた事をそれ扱いした事に突っ込んでいいか」

「飴の味は色々あるよ。苺とオレンジとレモンと何か」

「どこにそんなもん入れてたんだ全く。レモンくれぇ」

「嫌だね、あっしが食べるんだもん」

「知るか寄越せ!」

「あ…あっしのレモンンンンンン!!」

「そんなに食いたかったのか、レモンごときが」

「うわーん馬鹿鮫カスザメヨシキリザメイタチザメの分際がああああ」

「ゔお゙ぉいヨシキリザメとイタチザメとカスザメに謝れぇ!」

「自分はいいのか。あー、レモンが…」

「悪かっむぐ?!」


 ちなちの頭を撫でようとすると頬を包ま、れ……何でキスしてんだこいつぅうううう!!!!


「うえ…唾液塗れで気色悪い」

「て、めぇええええ!!!」

「うっさ! 何だいそんなに大きな声だして。ほら静かになって聴いてみなよ山彦が聞こえるじゃないか」

「だっ、おま、だっ、舌っ!」

「何だよ、悪いかい。問題あるのかな」

「問題あるわ! 恥を知れてめぇはぁあああああああああああああああ!!!!」


 悪いとは言い切れない。











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