照れ隠しの開き直り。
夢を見た。
言っとくがえろい夢じゃねぇぞぉ、普通の夢だ。こっちに来てからは振ってない剣を振りちなちを連れ去る意味不明なやつ。なんで連れ去んだとかそもそも振る意味はと突っ込みたい事限りねぇのに夢の中の俺はちなちを抱き抱え幸せだった。
「最近剣振ってねぇからなぁ…」
目を擦りながら隣に寝転がるちなちを見遣り、能天気な寝顔で静かな息を立てるそいつは手に持つ携帯を開いたまま眠っていて、寝落ちすんなと手から取り出す。まだ四時…二度寝しなくてもいいかぁ。
「ん…っ」
立ち上がってカーテンを開けると季節柄明るい光が差し込み部屋を明るくし、XANXUS辺りに行かないようにカーテンで区切る。あいつ低血圧だから朝とかすげー機嫌悪ぃからな。
「…スク、」
「…起きてたのかぁ?」
しゃがみ込みちなちの顔を覗いたがどうやら…べただが、寝言らしい。
「……ん、い たたた?」
柔らかい頬を摘むと起きたようで細目にし俺を見ている。
「………おはようカスザメ」
「蹴るぞ」
「こっちが蹴りたいよ。何で眠ってる人のほっぺ抓るのさ」
「お前が恥ずかしい事するからだぁ」
「? まあいいよ起きちゃったし。シャークおはよー」
ちなちが犬っころを抱き上げほお擦りをし始めて、俺はそのぼさぼさ頭をくしで梳く。
「ありがとスクアーロ。大好きだよ」
「ばっ! 黙れぇ!!」
「てめぇが黙りやがれうっせぇんだよカスザメが人の迷惑考えた事あんのかてめぇは切実にうるせぇよ魔女にでも声帯と引き換えに鮫にして貰え本気と書いてマジで頼むから」
朝から饒舌なボスに口でぼこられ軽く凹んでっとちなちが俺の頭を撫で、しかも同情するような顔してやがりそもそもてめぇがすす、…き、とか言うからだろおが。
取り敢えず七時くらいまで強制的に二度寝して飯作り食う事にしたんだがちなちは何故か俺の剣を見つめていて「どうした」と訊けば、
「こっちに来てからは全く振るってないよねスクアーロ。ボスは相変わらずグラス投げたりコオォォ…するけどさ」
ちなちの「コオォォ」発言に眉間を狭くするXANXUSを見遣りつつ、
「あぁ…こっちで振るう訳にはいかねーだろ」
「そうだけどね。あ、もし良かったら今日以前行った山に行こう。そこで剣振るわないかい?」
「悪かねぇが…」
「なら決まりだね。お昼くらいに行こうか」
むず痒くも感じるが単純にちなちの気遣いが嬉しく思った。俺の事意外と見てくれてんだなぁとか、考えてくれてんだなぁとか。何かもう膝の上に乗せて頭撫でてぇ。お前XANXUSの隣じゃなくて俺の隣来いよ。
「だからボス、行かないかな?」
「俺の感慨を返せ」
「は?」
別に何でもねぇよ。何かXANXUSがにやついてやがるが知らん。むかつくが興味ねぇぞぉ。見透かされてっぽいがほっとけぇ。
「俺はいかねぇ。京野のカスんとこ行く」
「あ、マジすか」
XANXUSがちなちに付いてこねぇとか結構珍事じゃねぇか? いや逆か。いつもちなちがXANXUS追いかけてんだよな。ゔお゙ぉおい、なに口尖らせてんだちなち。斬るぞぉ。
にしてもXANXUSがいねぇっつー事は二人か……覚悟しとけちなち。羞恥プレイしてやっからよぉ。
「何か身の危険を感じたんだが」
「超直感でもあんのかてめぇは」
「? ともかく着替えて行こうかー」
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