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浴衣と夏祭り。5。









「ほらよ」

「わ!すげえ!」


 ガキみてぇに騒ぐちなちを横目にコルクの入った容器から一つ取り出す。中に入れんの面倒だなと銃を左腕で押さえてっと隣から白い手が伸びて俺の代わりにそれを支えた。


「悪ぃ…」

「んーん。ボス全弾当たったんだけど。おじさん絶対泣くよね影で」

「ククッ…あいつは負けんの嫌ぇだからなぁ」


 さてどれを取るかと眺めてっと何か知らねぇがちなちは俺をじっと見てて、その視線の先が俺の左手だと気付いたのは後ろで景品らしい飴を口に入れてるXANXUSが「義手」と呟いたからだ。

 成る程、確かてめーは俺が左を使えない事知ってたなぁ。


「無駄な配慮だぜぇ」


 んなもん片手でやれるっての。

 銃口から飛んだコルクは真っすぐ箱に向かいそして当たる。無論箱は落ちた。


「かっこいい…」

「ん」

「ありがと…髪飾り?」

「飾るなり使うなり好きにしろ」他の景品を狙い、そんで射撃。「お前が欲しいもん全部取ってやっからよぉ」

「スクアーロ大好きだ!」叫ぶと俺の腰に抱き着き、「あれ片目つぶりながら取って!」


 何だ、片目つぶるって。漫画の見すぎだぁカスガキめ。いやてか待て写メんなゔお゙ぉい。


「カッコイイ!!もっと!」

「ゔお゙ぉ…い」

「すげー!ボス交代!ボスも片目つむってやって!」

「おいコラミーハー女」

「こうか」

「うわあああ!かっけぇぇぇぇ!!!!アイラブボス!スクアーロラブミー!」

「ゔお゙ぉぉい!!あほか黙れカスがぁぁ!」

「妬くなうぜぇ」

「Ti amo Squalo!!」

「黙れ。景品取ったんだから他行くぞぉ」

「この大量のぬいぐるみおよびお菓子達は四次元ポケットにしか入りません」

「一旦家に帰るか」

「抱っこ」

「んな幼児みてーに手伸ばされてもなぁ…景品持つんだぜ?」

「ボスー」

「……何だカス鮫。てめーはさっさと取ったもん運びやがれ」

「一人でかよ」


 ちなちは持ってくれると思った俺が馬鹿なのか? クソ、取り敢えずさっさと景品置いて来よう。


「早く戻って来てよ」


 なら手伝えぇ!!!

 人込みの中持って歩くのうぜぇから浴衣だけど木の枝に飛び走り出す。ちなち見てっとヴァリアークオリティがすげぇ事なんだなと少し思う時がある。

 家に景品投げ込んでほぼ全速力で祭会場に戻り、あいつ等どこにいんだと見渡してると肩を突かれた。誰だ。


「どーも。銀髪彼氏さん」

「……ああ、ガキか」

「六沢ですから好い加減覚えろよ。ちなち探してんの?」

「そうだぞぉ。つーかお前小せぇなぁ」

「百六十あんだけど。あいつなら朱目彼氏といちゃついてたぜ、河川敷で」

「あ? なにやってんだあいつ等…人こき使いやがって」

「何か解んねーけど大変だな。あ、河川敷あっちね」

「おぉ。じゃあなぁ」


 河川敷なんかでなにやってんだ? 河が見えて来るに連れてちかちかと火の球的なのがあちこちで揺れていて、ここらは霊的スポットなのかと思う。


「スクアーロー」

「なにやってんだ?」

「花火だよ。近くのコンビニで買ったんだ。ボスが待ってるから行こ?」

「お‥ゔお゙ぉぉい!!? 何か飛んで来たぞぉ!!」

「チッ。避けたか」

「流石ヴァリアーナンバー2だね。ちなみに今のは飛ぶ奴です」

「っ、共犯かてめぇぇぇ!!」

「喰らえ」

「ぎゃああああ! 待てザンザスゥゥゥゥ!!!」

「くはははは!! ボスボス、ドラゴン花火あるよー」

「どんなのだ」

「こういうの」

「うお、すげーって何故持つXANXUS」

「発火」

ゔお゙ぉぉぉぉおい!!!!??

「人の騒音より煩いね」

「花火もっと買って来い」

「もしや気に入っちゃった?」

「ちなちこっち来い! お前が居れば、」
「ちなちも道連れだ」

「ちょっ、あっしに向けないで下さいボスゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」












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