浴衣と夏祭り。4。
「スクアーロー抱っこー」
「どこの幼児だ。俺が抱いてやる」
「やだ。ボス変な事するきっと。抱っこ」
「別にいいがよぉ…」焼け焦げそうな視線のせいで穴が開きそうな気がしながら、「目立つんじゃねぇか?」
「抱っこー」
「聞けよ」
再び抱き上げいつの間にか始まっていた祭に気付く。どうやらちなちは全部を回るつもりらしい。
「どこ行くんだぁ?」
「む…綿飴」
「早速ガキが集まってるな」
「ボス、睨んじゃだめだよ」
「睨んでねぇ」
「寧ろちなちが睨まれてる気がするぞぉ。睨むってか、馬鹿を見る目」
「ボス抱っこ」
「すまなかった」
取り敢えずちなちを下ろし綿菓子を買った。ちなちが二つ買ってっから両方食うのかと思ったが、ザンザスにやって俺にはなにもくれねぇという。
「スクアーロ」
「むごっ?!」
「ぶはっ。だせー顔」
「甘いの平気なのかなってね。美味しいかい?」
「……ん」
俺の事考えて買わなかったのかと思うと笑みが零れる。ザンザスが「気色悪ぃ」とか言ってるが全くきにならねぇ。
「じゃあ次はヨーヨー釣り」
「幼幼釣り? ガキでも釣んのか?」
「よくそういう発想が出来たなぁ…」
「スク!ボス!いっぱい釣ろう!勝負!」
「どうやんだぁ?」
「こうだよ」ちなちはおっさんから貰った針の付く紐っぽいのを手にし水槽の中に浮くヨーヨーを釣った。「さあやろう!」
「はん…簡単じゃねぇか」
「そう言いながら早速出来てねぇと言う」
「カスが」
「うあ゙っ?!」
「ボスぅぅぅ!ヨーヨーは投げるものじゃないからねぇぇぇ!」
水風船((身を持って知った名))の後焼きそばだとかタコ焼きだとかを食い、人がどんどん増していく。嗚呼ちなちが逸れちまいそうだなぁ。
「ボスボス。逸れないでよ」
「てめーが逸れんな。小せぇんだから埋もれんだろ」
「何かそれ、前スクアーロにも言われたんだが。てかさして小さくないから」
「腕でも組んでろぉ」
「じゃあ二人にしがみついてるよ。次は金魚すくいしよう。勝負だ!」
「今回も勝つ」
「前回負けてんじゃねぇか」
突っ込みつつ俺、ちなち、XANXUSは並び器片手に泳ぐ金魚を見つめる。ちなちがやる姿は似合うんだが、俺とXANXUSが小魚掬うなんざマフィアが聞いて呆れるどころか頭打つぜ。
「ワォボス流石」
「はっ…ヴァリアークオリティ使えば何匹でも取れんだろ」
「こんなところでクオリティ発動?」
「ちなちは全然取れてねぇじゃねぇかぁ」
「うん。君等が取るから取れないんだけどね」
「…ッチ…破れた…」
「行くぜぇ!」
「ドカスがああああ!」
「金魚すくいに本気になる三十路ってどうなの」
「ゔお゙ぉぉぉいXANXUSてめー!!妨害すんなぁ!!!」
「黙れカス!」
「目立つから。子供見てるから。あっしの為に黙ってくれ」
結局金魚はXANXUSの妨害によってXANXUSが勝者となった訳だが。
「ちなち。何だあれは。ライフルか」
「あれは射的って言ってさ。コルクを入れて放ち景品に当てて、当てた景品が棚から落ちれば貰えるんだ。やろうか」
「なにが欲しい」
「んー…何でもいいかな。ボスがくれるなら」
XANXUSはふっと気障っぽく口元を微かに上げるとぬいぐるみに向けて弾を放った。
「やる」
「にゃんこだ!ありがとうボス!」
「……俺もやるぜぇ。おっさん金だ」
「三十路がおっさんとかどうなの。いやまあスクアーロはおっさんに見えないけどね、うん」
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