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浴衣と夏祭り。3。









 更衣室から出るとボスがさっきの男性店員さんを睨んでて、店員さんはあっしを見るなり涙目でお辞儀をしてくれる。すみません店員さん。


「やっと終わったか」

「待たせてごめんよ。じゃあ行こう」

「待て」また二人はハモった。

「なーに?」

「浴衣着ねぇのかぁ?」

「うん。ほら、似合わな、ちょっとボス何で女性用浴衣持ってるの」

「選んでやった。ほら入るぞ」

「ちょっ、待って、スクアーロこらあ!なに便乗してんですかぁぁぁ!!」

「黙れぇ」

「おいカス。どこまで脱がすんだ?」

「女はブラ取るんだってよ」

「ちょ!むっつり鮫野郎裏切りやがったなぁぁぁぁ!!!!」



















 会場はすでに人が何人も居て屋台も幾つか売りもんを作り始めている。ああいう甘そうなのちなちが好きそうだなぁ。

 まあそのちなちは只今涙ちょぎれさせながら俺の腰に抱き着いてんだが。好い加減立ち直れよ。ザンザスもそう思ったか、


「まだ根に持ってんのか」

「…普通下着姿にされた上ブラ取られて揉まれたらこうなるっしょ…」

「舐めてはねぇ。あれくれぇでなに泣いてやがる」

「言っとくがあれだろうと強姦未遂だぞ!しかもスクアーロまで…っうぅ…信じてたのに…」

「悪かったぁ」


 頭を撫でてやると一層腰に巻き付かせる腕をきつくし、お前は蛇かと突っ込む。しかし反応はなく、やり過ぎたなと悪い気になってきた。

 だがあの程度で良かったじゃねぇか。大好きなボスさんにされたんだしなぁ。

 それに俺は無理矢理にでも服剥ぎ取って良かったと思う。これ程可愛い姿見れたんだ。髪もテレビでよく見る女将スタイル((命名ちなち))にしてるし、三次元来て良かったぜ。ザンザスのセンスも侮れねぇな。


「ちなち、綿菓子買ってやらぁ。後かき氷」

「……」

「…抱き着かれてると動きにくくて人に当たるんだがよぉ」

「抱っこ」

「…仕方ねぇな」


 幼い子供を抱くように片手で持ってやると首に腕を回して、本当ガキみてぇ。


「俺が忘れられてる」

「ゔぉ!!蹴るなよぉ、ちなちまで巻き添え喰らうぞぉ!」

「ふっ…」ザンザスは珍しいような珍しくねぇような不敵な笑みを浮かべ、「今はな」


 ………今夜はちなちを抱きしめて寝るか。


「スクアーロー髪結ぼうよ」

「ん…なら」ちなちの巾着から携帯を取り出し時間を確認する。十七時半まで後十分程度だ。「やってくれ」


 近くの椅子に座り結んで貰い、途中途中ザンザスに引っ張られたり叩かれたりしながら後頭部に一つ結ばれ、まあ所謂、


「ぶはっ!女もんじゃねぇか」

「いいのー!日本の剣士の髪型だもん!」

「…」













あきゅろす。
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